2026年6月2日、福島市の市街地にある工場に現れたクマが従業員はじめ4名の人々を襲い、その後、近くの別の工場の敷地内に立てもこもるという事件が発生しました。福島市は、この敷地内にクマを閉じ込め、駆除を試みましたが失敗し、その後、クマは逃走しました。この騒動の間、この工場の営業は停止され、付近の中学校・小学校も休校となりました。クマが捕獲されなかったこともあり、今も住民の不安は続いています。
今回の騒動は、クマが人を襲う様子が防犯カメラに残されていたこともあり、早速、昨日のテレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーや、NHKのニュース7などの全国放送でも大々的に報道されました。
➡ 4人襲撃クマ 40時間居座った工場から逃走 市内にいる可能性…【羽鳥慎一モーニングショー】(2026年6月4日)
➡ クマ逃走中 [NHK News7 2026年6月4日)
しかし、一昨年来、福島市ではこうしたクマ騒動がたびたび起きています。こうした騒動が起きるたびに、市役所の車が巡回して注意を呼び掛けたり、パトカーが巡回して警戒を強めたりするのは珍しくありません。また、学区内でクマ目撃情報があると、子供の学校への送迎を求められるため、子育て家庭の負担やストレスも増してきているのが現状なのです。
当然、こうした異常なほどの市街地へのクマの出没に対して、地元ではメガソーラーの設置とを関係づけて理解しようとする声が根強くあります。他方で、クマ出没は全国的な現象であり、福島市に限った問題でないため、安易にこの両者を関係づけるべきではないとの指摘も聞かれます。本会としても、この両者の因果関係の証明は難しく、安易に結び付けることには慎重な立場です。
とはいえ、福島市の場合、市街地に面した山麓に設置されたメガソーラーは先達山だけではありません。下の地形図をご覧ください。

福島で今回のクマ騒動が起きたのは笹木野地区。先達山から直線で約7キロの住宅街です。
山裾から細い川筋が笹木野の方に向かっているのが分かると思います。
さらに、市街地からは山の陰では見えませんが、実は先達山の南側には、同様の規模の巨大メガソーラーが並んで設置されています。
そして、そこから福島市の中心部の方に川筋が伸びています。
こうした地形図・位置関係をみれば、居場所を奪われた山の獣たちが、川沿いに市街地へと誘導されやすい状況が生じていると疑う住民がいても全く不思議ではありません。
本会は地元民の団体ですので、先達山付近の住民からも直接に話を聞いています。
ある住民は、開発前から前から「先達山にはクマの巣がある」と知っていたと言います。
また、地元で実際にクマの駆除に当たっている方からも「メガソーラー工事が開始されて以降、クマの出没が増えたという実感、肌感覚はある」と聞かされました。
こうした地元の声は、両者の関係を立証する科学的な証拠にはなりません。しかし、この両者の因果関係を否定する側の人々(主に事業者)も、それを十分に立証する科学的根拠を持ち合わせているわけではありません。単に「わからない」だけです。ところが、事業者は単に「わからない」ことを「法的責任はない」と結び付け、それゆえに「住民の疑問や不安と向き合わなくても良い」という態度をとるのが常です。

実際、こうした態度は、先達山事業者のAmp社の対応に見てとれます。
実はAmp社は、去年の夏の時点で、すでに住民からクマの出没との因果関係について問われていました。
左は、その時のやり取りです。
この住民は、クマ騒動の一因としてメガソーラーを疑っており、こうした不安や不満に対して、開発企業としてどう向き合うのかを問うています。

これに対して、まず答えたのが、Amp社の顧問弁護士である長谷部氏です。
一応、法的に問題なくとも、地元の声は聞くし、対話はすると言っています。
他方、現場担当者(行政・住民対応)の鈴木氏は、メガソーラーとクマ出没の増加の最大の理由は「農家がえさを放置している」ことだとして、メガソーラーとの因果関係を否定します。
しかし、「市側の資料」実際に見せるわけでもなく、「1番大きいらしい」という伝聞に過ぎません。
こんなものは科学的根拠でもなんでもありません。

しかも、実際には過去の出没データと比較が可能なのに、そのデータの信憑性がないとして、比較に意味なく、調査もできないと弁明します。
さらに、森を奪われたクマが動くとしても、それがどこに行くのかはわからないの「判断できない」とします。
つまり、結局のところ、Amp社にも因果関係を否定できる根拠がないことは明らかです。単に彼らも「わからない」し「判断できない」だけなのです。
これでは住民の懸念や不安は拭えません。
そこで、住民は「わからない」なりに、何とか少しでも事業者に不安払拭に向けた取り組みを求めます。

これに対する鈴木氏の答えは、見事な模範解答。
何を言っているか意味不明ながら、何か寄りそって答えているような雰囲気をかもし出す。あっぱれな技術です。
そのうえ、Amp社は、この対話会を最後に住民の前から姿を消し、現在まで住民への説明責任を完全に放棄し続けています。つまり、対話を続けるという約束を自ら破っています。
(Amp社のその後の対応については
➡ 自称「AC7社」の正体は「Amp社」ーカオナシ企業の住民対応(~25年7月末)
➡「AC7社」を演じ続ける「Amp社」‐カオナシ企業の住民対応 II(~26年4月末)
こうした姿勢ですから、住民からの疑念や不満は払拭されるどころか、高まる一方となり、クマ出没のたびごとに、先達山メガソーラーとの因果関係が疑われるのです。

しかも、Amp社の場合は、山を破壊しただけでなく、大規模な「光害」まで生じさせことにも、一切の説明も謝罪もせず、逃げ続けています。ですから、住民にとっては、この事業者の行為のすべてが疑わしく見えても当然なのです。
こうした文脈を踏まえれば、「光害」を描いた地元のアーティストの作品に、先達山から寂しげに去り行くクマの姿が登場したのもうなづけるでしょう。
この感性・感情・感覚は、地元に住む人間ならよくわかります。
こうした文脈を知らずして、メガソーラーとクマの出没の増加を関連づけて考えること自体を「愚か」だとか「陰謀論」だとか「科学のわからない田舎者のたわごと」とか、好き勝手に断罪している方々を見ると、ちょっと悲しくなりますね。
ぜひ、そうした方々に問いたいです。
じゃあ、あなたが、こうした私たちの不安や誤解を見事に払拭できる科学的根拠を示してくださいませんか?
あなたが、Amp社に代って、住民に寄り添い、納得いくまで説明して下さいませんか?
それができないなら、遠くであれこれ論評して自己満足するよりも、ぜひ一度、福島に足を運んで地元民の話を聞きながら、一緒に考えませんか?
なぜ、メガソーラーと再エネ事業者は、これほどまでに地元民から疑惑・不審の目で見られるかを。
実