以下では、Amp社が先達山の開発に際して、どのような事業体制を整え、いかなる役割を果たしてきたのかを具体的に見ていきましょう。
「Ampが街にやってきた」と同様に、随時、住民としての問いかけも記していきます。

まず、これまでも繰り返し強調してきましたが、Amp社というのは、徹頭徹尾、投資会社です。
現場の環境や自然と実際に向き合って、具体的な改善作業に関わるような会社ではありません。
当然、そのCEOも金融業界出身。
アピールするのは「資産管理」の能力や実績。
「環境改善」の能力や実績ではありません。

もちろん、これは日本法人「代表」を名乗るマーティン・シュタイン氏も同じ。
元新生銀行員。しかも「再エネ事業投資部門設立者」。
こんな経歴の方がAmp社に移籍して、日本法人の代表を務めています。
ちなみに、新生銀行は、Amp社が福島市で最初に手掛けた太陽光発電所「福島ソーラーパーク」に融資しています。
また、先達山も新生銀行が音頭をとり、七十七銀行、東邦銀行、静岡銀行などと協調融資(シンジゲートローン)を行っています。

ところで、すでに「先達山問題概論」の「AC合同会社」の項で説明しましたが、Amp社の資金源は、ZOMA Capitalというアメリカの投資ファンドです。
Amp社は、このファンドを通じて、再エネ事業への投資資金として200億カナダドル(当時で約150億円ぐらい)を調達しました。
このことを2019年10月11日付で誇らしく発表しております。(原文リンクは、こちら)
でも、私たち、勉強不足でした。

実は、Amp社は、その2年後に、世界最大級の投資会社カーライル・グループからも、さらに追加で400億円の資金を調達しておりました。
ちなみにカーライルは、2000年から日本に本格進出。同社の日本語版ホームページには、こう書いてあります。
カーライルは、3つの事業セグメント、636のファンドを通じて、計4,410億ドルの資産を運用。長期に亘り、賢明かつ責任ある投資を行っています
4,410億ドルって、現在レートで約65兆円。
その額の大きさも不気味ですが、自ら「賢明かつ責任ある」と自称するところはもっと不気味です。

ともあれ、上記を踏まえて、Amp社の資金調達経路を整理し、先達山のケースに当てはめて整理したのが左の図です。
まず、Amp社は、海外ファンドからの資金を元に、先達山開発に狙いを定め、AC7合同会社を組成しました。
そして、このAC7社を通じて、先達山の用地取得や開発許可のための様々な実務を遂行しました。
そして、目標通り、開発許可を取り付けた結果、先達山の発電事業は将来的な収益性の高い優良案件となり、それを見込んだ銀行や企業からの融資や出資が集まりました。
つまり、Amp社は、AC7社という「箱」を作り、その「箱」に発電機能を付けることで「金を生む宝箱」として、銀行や投資家に宣伝し、資金を調達したと言えます。

こうなると、Amp社の次の仕事は、「箱」の資金を使って、発電所を作り、「金を生む宝箱」を完成させることです
こうしたAmp社の役割を他の関係企業との関係を踏まえて整理したのが、左の図です。これは融資者の新生銀行が作りました。
銀行や投資家から見たAmp社や関連企業を役割を示しています。
銀行や投資家の資金はAC7社という「箱」に入り、AC7社はその資金で奥村組や東芝プラントに発電所の建設工事を発注(EPC契約)し、完成後の発電施設の維持管理も別の業者に委託(O&M契約)します。
ただし、AC7社は単に「箱」に過ぎず、従業員もいませんので、発電所が完成するまでの関連業者とのやり取りや行政への届出と言った実務はAmp社が担当します。
つまり、Amp社は自分が作った「箱」が、当初の計画通り、発電機能を持つ「金を生む宝箱」となるまでのお世話する仕事をしています。
この役割を左の図では「アセットマネジメント」と呼んでいます

アセットとは英語で「資産」。マネジメントは「管理」。
つまり、Amp社の仕事は「資産」=「金を生み出す宝箱」の管理です。
発電設施設の維持や点検といった物理的な意味での「管理」ではありません。それは維持管理契約(O&M)契約を結んだ業者にやらせます。
Amp社は、あくまでも「金を生む宝箱」という「資産」の管理人であり、それが銀行や投資家にとって優良資産となるように働くのです。
ですから、Amp社が住民の感情や不満に鈍感であり、その意見や権利を軽視する傾向が見られるのは当然です。彼らの目線の先にあるのは「投資家」であり、「住民」ではないからです
問11 Amp社の「アセットマネッジメント」契約の中に、周辺住民への丁寧な説明、生命・財産保護といった責任事項は明記されていますか?
仮に住民対応が含まれていたとして、この契約相手がAC7社であれば、実質的に自社(Amp社)と契約しているに過ぎず、業務遂行における責任感・客観性など生まれ得ないと考えますが、いかがですか?

もっとも、Amp社の場合、単に投資家のための奉仕者ではなく、自分自身も投資家です。
左の発言は、Amp社の長谷部氏にAC7社との関係を尋ねた文脈で出てきた発言です。
これによれば、Amp社はAC7社を組成するために出資しただけではなく、当初はZエナジーのような投資家と同じように、売電開始後の収益からの配当を得る目的でも出資していました。
しかし、その将来的な配当を受ける権利は、すでに第三者に売却済だというのです。
これがいつの時点で誰に対して売却したのかは分かりませんが、Amp社の出資額を上回る高値で買ってくれる人を見つけ、転売して儲けたことは間違いないでしょう。
問12 上記の長谷部氏の説明から、Amp社はすでに先達山において初期投資を回収しており、後は残って、他の投資家にも分け前が行くように宝箱の完成までの管理業務を義務的に続けているだけと思われますが、この理解は正しいでしょうか?

最後にひとつ、AC7社の業務執行社員、すなわち社長の中村武氏について触れておきます。
この人は、先達山開発の現場や実務とは全く無関係な方です。
AC7社という「箱」にはお金が出入りするので、その会計事務の仕事を請け負いつつ、名目上の社長として名義貸しをしています。(2025/3/13 Amp社長谷部氏の説明)
ですから、本業は税理士。アースタックスという会計事務所を経営しています。
問13 Amp社長谷部氏は、中村氏は「形式的な代表者」に過ぎないと明言しています。しかし、先達山で事故が起きた際、責任は施設保有者のAC7社にあるはずであり、中村氏が責任を負うはずです。しかし、合同会社は有限責任であるため、会社はつぶれても中村氏は個人的責任を問われず、また、Amp社は「委託管理業務者」であるとして責任を回避すると思われます。Amp社は先達山事業の全責任を担い得る法人/個人が誰であるかを、明確な根拠(契約内容の一部など)を提示して説明してください。

さて、本会はAmp社を「注視」してきた結果、福島には全く軸足を置かず、住民の安全や生命に責任を持たない企業と判断しています。
それでも、まだ福島の皆さんは、信じないかもしれません。
「だって、Amp社は先達山に関する住民説明会の時には、発電所を所有するって言ってたよ」
「きっと、最後まで責任もってくれるはずだよ」
素直な福島人からは、そんな声が聞こえます
確かに、当時の資料にはそれっぽいことがかれています。
左は2019年にAmp社が福島の住民説明会に用いたものです。

また、同じ資料には、Amp社がすでに福島市内に別の太陽光発電所を保有していることを示すべく、写真が掲載されています。
じょーもぴあの隣に建設された「福島ソーラーパーク」のことです。
これを見せられたら、確かに福島の住民も、先達山にできる発電所(当時は「高湯温泉発電所」という名目でしたが)もAmp社が保有するのだと思っても自然でしょう。
そして、Amp社がこの発電所を持つ以上、地元の住民とも末永いお付き合いになるのだろうと、優しい心持から期待する人もいるかもしれません。

でもね、決して信じちゃダメなんです。
Amp社にとって太陽光発電所とは、あくまでも「資産」。あるいは投資の対象。
自社の利益のためには、売ったり、買ったりするのです。
ですから、既存の発電所を買ったり、新たに作り始めた時でも、常に高く売れる転売先を探しています。
左は「福島ソーラーフパーク」のその後を示しています。
Amp社は台湾系の「玖暉」という企業から建設中の発電所の用地と権利を買い、「玖暉合同会社」を通じて保有していました。しかし、この会社2023年には閉鎖されています。

なぜかと言えば、Amp社が「福島ソーラーパーク」を丸ごと別の会社に売ったからです。
つまり、転売です。
売り先は「レクサスリニューワブル合同会社」
背景にいるスポンサーは、大手の生命会社。
おそらく、じょーもぴあ周辺の住民は、あのメガソーラーの事業者(所有者)が変わったことを知らされていないでしょう。
Amp社にとっては、自分の「資産」を売っただけですから、「住民」への周知など不要とお考えのはず。
問14 果たして、Amp社が、福島ソーラーパークの売却の事実を周辺の住民に対して、丁寧に説明した事実はありますか?
うがった見方をすれば「福島ソーラーパーク」は、福島の住民に対する「見せ金」に過ぎなかったという訳です。
つまり、Amp社は福島の住民の信頼を得るために、「うちはすでに福島市に施設を保有してます」と見せておいて、後で高値で売れるチャンスが来れば、売るつもりでいたのです。

当然、現在、建設中の先達山も、同じ運命をたどる可能性は大です。
なぜ、わかるかと言えば、左の表に明らかなように、Amp社は、開発を手掛ける発電所ごとに番号をつけてAC合同会社(箱)に保有させ、その後、転売します。逆に、他の発電所を買い取ることもあるようです。
AC社が閉鎖され、後続/合併にある会社名に変わったのは、何らかの売買がなされた結果と思いますが、詳しくはAmp社に聞かないとはわかりません。
とにかく、AC社の事業は複雑に売買されるものであり、Amp社が発電所を長期間、保有する意思がないことは明らかです。

実際、こうしたAC会社の頻繁な事業売買について、Amp社長谷部氏に聞いてみました。
その答えは、極めて直截で明確でした。左をご覧ください。
改めて、Amp社にとってAC社を通じて所有する発電所が、売り時を待つ「資産」であることがわかります。
Amp社には、発電所の設置で翻弄される地域の住民の感情・利害・意見を考える視点が欠けています。
売却後も「管理業務」の責任を果たされるそうですが、あくまでも「限度」付です。
問15 「管理業務」社として責任が負いきれる「限度」とは、具体的に何を指しますか?Amp社は実質的な運営会社と言いながら、その責任に「限度」を設けるのはなぜですか?

なお、AC社シリーズの合同会社の登記上の住所は、銀座の「土志田ビル3F」と神田の「あすな会計事務所」の二つの住所に集中しております。
2025/3/13の対話時に、AC7の住所と建物/事務所について、長谷部氏に聞いてみました。左のオフィスの中には会計事務所があるそうです。
問16 このように多数の合同会社の住所を、同一の住所で登録するということは、改めてAC合同会社が従業員のいない、単なる資金管理をするだけの会社であり、その所有する発電施設の周辺環境や住民に対して何ら意味のある関係を持つ意志も可能性もないことを確証するものと判断しますが、Amp社のご見解はいかがでしょうか?

ついでに、言っておきますと、Amp社が2016年に日本法人を登記した時の住所も「土志田ビル 3F」でした。
つまり、AC7の住所=会計事務所の中です。どう考えても、公表された従業員25名が入るオフィスではありません。
その後、銀座から六本木「泉ガーデンタワー」へ。さらに数年前からは六本木の「アークヒルズサウスタワー」に入っています。
問17 なぜ従業員を25人抱えるはずのAmp社が当初は、資金管理/会計業務を担当するAC7社と同じ住所で登記されるのでしょうか?また、頻繁に本社移転を繰り返した理由は何でしょうか?

なお、Amp社は、福島市には現地事務所も置きませんし、人を常駐させていませんから、住民は簡単に質問をしたり、対話したりできません。
これは、本サイトの「Amp社との対話備忘録」をご覧になればわかるはずです。
となれば、Amp社の方に会うのには、名刺にある住所を訪ねてみるしかありません。
そこで、現在の本社の「アークヒルズサウスタワー16F」を訪ねてみます。しかし、現在、そこはレンタルオフィスです。
ちなみにWe Workとは、有名なオフィススペースの貸し出しをする会社。(リンクはこちら)
問18 日本各地で大規模に事業を展開し、かつ少なくとも25人の従業員を抱えるとされるAmp社が、現在もレンタルオフィスを本社としている理由は何ですか?これでは、会社が限りなくバーチャルに近いものに見えますが、なぜ、常時、住民や顧客と連絡を取り、顔の見れる関係の築けるような固定のオフィスを設けないのですか?

Amp社がこのように「身軽」なのは、最初からどこかに軸足を吸えて、事業を展開する地域の住民と共生共存をはかるような企業ではないからなのでしょう。
あくまでも現地に開発する「資産」を管理したり、売買する会社なのですから、大きなオフィスや住民対応のための事務所なんて不要と考えられます。
おそらく、パソコンとネットさえあれば、どこでもO.K.ということ?
ただし、福島の住民説明会で、そんなことは言えません。
だって、建前では、Amp社が先達山案件の実質的運営者って言っちゃってますし、開発に同意を取り付けるためには、住民に寄り添うようなメッセージを出す必要がありますから。

でも、Amp社の「身軽さ」に、福島の住民は最初から気づいていました。
左はAmp社が2020~21年頃に開催した住民説明会の議事録からの抜粋です。
Amp社の説明を聞けば、彼らがこの地に軸足を置かないフワフワした人たちだとすぐ見抜くのです。
この「身軽さ」をつかれて、Amp社の答えをよく「注視」してください。
福島の地元(水上は先達山の真下)に会社の事務所を移し、福島に法人税や固定資産税を払うつもりだと言うのです。

おお、これは珍しく住民に寄り添う姿勢を見せてくださいました。
なんて、信じた住民は、馬鹿を見ます。
左のやり取りも、Amp社との対話会の時のものです。
おそらく、住民向けにそういう説明をしたことも忘れていらっしゃる様子。
もしかして、今から事務所を置いて、社員を常駐させて辻褄合わせるつもりかしら。
問19 なぜ、今日まで住民に約束した地元への事務所設置を行わなかったのか?福島市に納税してこなかったのか?住民に納得のいく説明をしてください。法務担当者が「ちょっと分からない」では済まされません。

まあ、置かないよりは置いた方がいいかも知れませんね。
ただ、そこには必ず本社で雇った正社員を数名、常駐・在住させてくださいね。
別にそれでAmp社に対する信頼を回復することはないんだけど。
ただ、水上は先達山の真下(黄色の円)。土砂災害の恐れの高い地域。昨年の土砂流出事故があったのは山から下ってくる南側の道路。
今もAmp社のメガソーラーのために、日々、災害におびえて暮らしている方々がいます。
Amp社員にも分からせたいんだよね。私たちの不安、不満、嘆き、悲しみ、そして怒りを。
問20 Amp社は現在も水上に事務所を設置し、社員を常駐させる意思があるのか明確にして下さい。
やっぱり、Amp社の話をすると、最後は暗くなってしまいますね。
仕方ないです。明るい話できるネタがないので。
無理に自分たちを奮い立たせて、笑うのも疲れます。
時にはしんみりとした歌でも聞いて、自らを慰めますか。
でも、やっぱり、しんみり聞いてても、違う歌詞が頭に浮かんでくるなあ。 リンクはこちら。