今週から始まった福島市の9月議会において、宍戸一照議員が先達山問題について集中質問しています。この様子は市議会の録画映像で全編視聴可能です。
→ 令和8年9月定例会議本会議の録画映像9月7日(月曜日) 一般質問 宍戸 一照(真結の会)
宍戸議員の先達山に関する質問は、24:17秒過ぎから始まります。
非常に重要な内容が含まれますので、この質疑に対する詳細と本会の評価について、以下に記します。
なお、この市議会の録画映像は、ダウンロードできず、このHPに直接表示できないため、上記の市議会リンクの映像を確認しつつ、以下をお読みください。
まず、宍戸一照議員ですが、市議会の自民党系会派の「真結の会」の所属議員です。福島市の先達山に近い荒井地区を地盤とする議員です。同議員は、今年の3月議員でも先達山について集中的に質問した数少ない議員であり、本会も注目している議員の一人です。
➡ 参考 宍戸一照市議、Amp社の名前を挙げて、緑化・光害について事業者の対応状況や市側の見解を質す 26/3/19
今回の9月議会での宍戸議員の質疑が明らかにした問題は以下の通りです。これに対する市側の応答は→以下の内容。
① 緑化は全く進んでいない。事業者は市側の指導を素直に聞かない。→ 今後とも事業者に指導要請していく。
② 施設内の排水設備に問題がある。雨水を適切に排水していない。防災上の懸念がある → 現地確認したが、適切に維持管理されている。
③ 反射光は市民への危険・迷惑。事業者は反射光が広範囲・長時間に発生することを認めた。眩しさによる事故の可能性は?→ 眩しさは事故要因になる。ただ、眩しさに対する事業者の受け止めは改めて確認する。
④市長は事業者と面談予定、県とも連携。 市長は事業者に適切な対応を求めるというが何をする? →光害を認めたことで場面(=局面)が変わった。近く事業責任者と面談予定を調整中。
具体的なやり取りの骨子は以下の通り。
①緑化の不足(24:15~)
Q1(宍戸議員):先達山の切土(三角のはげ山部分)には緑化が進んでいない。市の見解はいかに?(24:17~)
A1(環境部長):これまで業者に追加の緑化を要請し、事業者は複数回、緑化工事を行ってきた。今年4月にも実施し、先月に市側が現地調査を実施した際に、少しは緑化に向けた努力が見られた。しかし、切土面には定着せず効果が薄く、遠くから見て緑化が進んでいるとは言えない。(~27:27)
Q2:画像を見て欲しい(農協の直販所「ここら」から撮影したはげ山の写真を投影)。真結の会は過去に二度ほど現場視察をした。その際、業者は切土も部分も緑化できると自信を見せていた。しかし、実際はこのありさま。まさに景観破壊。斜面の表土が流され、わずかの芝生もはがれている。今後、我々はこの岩肌を見続けなければいけない。本当に緑化など可能なのか?市の具体的な指導の中身は?(27:29~)
A2:白くはがれている部分は、事業者が敷いた植生シートの一部が発育不良のため。結果、まだら模様に見えている。市は今後も経過観察し、十分な緑化対策を求めていく。
Q3:結局、緑化も反射光(=光害)にしても、市が指導したところで事業者は実施しない。このやり取りがずっと繰り返されている。事業者は素直に市側の指導を実施すると回答して来ているのか?(~30:33)
A4:これまで文書で5回指導要請した。現地調査も昨年度5回、今年度も3回実施した。事業者も緑化に努力しているが、生育環境が厳しく順調に進んでいないという認識。
②排水施設は不十分(31:28~)
Q5:昨年、真結の会で現地視察した際、排水溝が計画通りの流量ではなく越水が確認された。構造上の問題がある。今年は雨量も多いが排水状況や四か所の調整池の適切な維持管理について、市側の現地視察の結果はどうか?
A5:排水溝に多少の土砂流入あるが堆積土は浚渫した。調整池も昨年11月に浚渫し、現時点では、これらの施設の機能(=排水、貯水)は保たれている。しかし、近年の豪雨や台風を踏まえると雨量リスクあるので、市として降雨時に現地状況の監視を続けるとともに、事業者に施設の適切な維持管理を求めていく。
③反射光の危険性(33:10~)
Q6: 事業者の反射光(=光害)のシミュレーションが過小な机上の空論であることは、春に行われた市側の春季分の現地調査で明らかとなった。市側が実施した夏季分の調査結果は?
A6: 夏も六か所で実施。シミュレーション通り、全ての箇所で反射光確認。しかし、事業者予測よりはるかに長い42分~108分も観測された場所もあり、大幅な差異が認められた。
Q7:事業者も反射光の調査報告を出し、これまで認めてこなかった反射光の実態を認めた。これは市側の調査報告と整合し、事業者と市側は反射光の実態に対する認識を共有したという理解で良いか?
A7:春季分の事業者の現地調査内容は、ほぼ市の調査内容と整合。反射光の影響範囲と継続時間について初めて事業者と市側が共通認識に達した。
Q8:問題は反射光の範囲や継続時間だけでない。眩しさによる交通事故の危険。この目がくらむような眩しさは異常であり、東北自動車など特に危険であり、福島市にとっても不名誉。事業者は、反射光の輝きや眩しさについても市側と認識を共有しているのか?
A8:事業者の現地調査には、市の職員も立ち会っており、その眩しさについては相互に確認しているが、事業者としての受け止めは改めて確認する必要がある。なお、交通事故にはあらゆる要因があり、直接的な因果関係の判断は難しいが、反射光は交通事故の一つの要因となり得ると考える。
④馬場市長、県の対応は?(38:15~)
Q9:市長は先の会見で、事業者の反射光報告を受けて「適切な対応を求めたい」と言っているが、適切な対応とは何か?
A9(馬場市長): 今回の事業者の報告は、これまで存在しないと言っていた反射光の存在を事実上認めたもの。これで「場面」が変わった。発電所の存在によって生じさせた光害について、まずは事業者としてどう受け止めているのか、その認識や対応の方向性を確認したい。緑化不足による景観問題についても同様。現在、事業の責任者から私が直接に報告をもらうよう調整中。その場で認識を確認し、反射光や景観対策を求めていく。「これは相手がいる話なので、市役所の考えだけで進められるものではないので、そう言った意味で適切に進めていきたい」。
Q10:先達山問題は基本的に県の林地開発許可から生じたもの。許可権者である福島県にしっかりと対応を求めるべきもの。工事完了検査後だからと言って、「県の逃げ腰・・・だんまりは許されない」。市長は県にいかなる対応を求めるのか?
A10:昨年12月に国に対して(再エネ規制に関する)要望書を出す際には県の見解も取り入れ協力した。市と県の担当者間の交流も密である。ただ、今回の事業者に対するもの(=要請?)については、市の責任でやりたい。その他については県とも連携していきたい。
Q11 : 先ほども言ったが、事業者は反射光の問題はないと説明していたが実際には出ている。県が許可した内容と食い違っている。市長には県に強く申し入れをおこなってほしい。
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と、このように宍戸議員は、先達山問題に関連して20分近くも集中的に質問し、非常に重要な問題提起をし、また市側の重要な発言を引き出しています。
これらのやり取りを踏まえて、現時点では次のようなことが言えると思います。
①の緑化の不足については市側も完全に認めました。ただし、「事業者も努力している」「周辺の生育環境が厳しいので難しい」などと、事業者を弁護するような発言を繰り返しています。景観計画と異なる大規模のはげ山を出現させ、「緑化できる」「景観は戻る」といった虚偽の説明を重ねてきた事業者に対する怒りや追及の姿勢は全く見られません。市当局者には、市民の権利を守り、市民の生活を侵害した事業者を厳しく管理・指導する姿勢は見られず、完全に事業者よりの姿勢と言って良いでしょう。
②宍戸議員らの現場視察により、すでに現場の排水設備に問題があることは指摘されています。これは本会が調査協力を依頼した専門家も早くから指摘しています。ところが、市側は自分たちの確認結果、排水や貯水施設の機能に問題はないという立場をとっています。しかし、事業者が調整池を浚渫したといっているのは「昨年の11月」、すなわち1年近く前です。その後の雪や雨で、どれほどの表土が削られ、流され、排水溝や調整池に堆積し、これがどれほど頻繁に浚渫されているのか、本当に市側は確認しているのでしょうか?1年前の現場の話をもって、現場の排水や貯水能力に問題がないと市議会の公式答弁で述べた市側の認識が正しいかは、今後、徹底的に追及されるべきでしょう。
③市側も事業者も広範囲に、かつ長時間にわたり反射光が到達をしているのを認めたのであれば、これはただの「反射光」ではなく、市民側から見れば、生活や安全に支障をもたらす「光害」です。今後は市側は、この問題を論じる際に「反射光」などという誤魔化しの言葉ではなく、しっかりと「光害」と呼ぶべきです。それはさておき、市側はようやく事業者側に光害の発生を認めさせたととはいえ、いまだに「眩しさ」については、事業者側の受け止め方を確認する必要がある、などとあいまいな物言いをしております。事業者と市側の担当者レベルではお互いに「眩しいね」と現場で認めあったものの、会社としての公式見解を市側が質していないとので分からないと言いたいようです。また、光害が交通事故を誘発する危険性についても、様々な要因があるので因果関係の立証は難しいと逃げ道を作りつつ、それでも「要因の一つとはなり得る」と最後にしぶしぶ認めた印象です。普通に考えれば、交通事故を誘発する新たな要因を作り出した時点で大問題であり、徹底して事業者の責任を追求し、一刻も早く是正させるというのが市民を守る市役所の仕事のはずですが、残念ながら福島市はそうした立場に立ちません。
④これに対して、馬場市長は似たような曖昧かつ慎重な物言いをしますが、少なくとも事業者が、これまで否定してきた光害の発生を自ら認めたことで、これを「場面が変わった」と評している点は注目に値します。この発言からは、事業者が自らの過失を認めた以上、市役所としても今後はより積極的に、その責任を追及できると考えている節がうかがえます。いうなれば、「局面が変わった」のです。実際、馬場市長は近く、事業責任者を呼んで、直接に報告させ、認識を聞くと言っています。これがいつになるのか、果たしてそこで何が話されるのか、そして市長はきちんと対話の中身を詳しく公開するつもりがあるのか、今後に注目です。この市長と事業者の面談の透明性が確保されるかは、市長・市政への信頼性を測るうえでも重要なポイントなると思います。
→ 参考 福島市長の記者会見映像が公開。7月に現場視察したことも明らかに。事業者と直接対話したいと明言。26/9/7
最後に、宍戸議員が、県の無責任さを指摘し、市長にもキチンと県に対して物申すように直言している点は非常に重要です。本会も、今回の先達山の乱開発の主たる責任は、開発許可権者の県にあると見ています。しかも、県は宍戸議員の指摘の通り、問題の多い工事や計画をきちんと精査せず、許可を出した疑いをもたれているにもかかわらず、その辺りについて確認を求める本会からの公開質問状にも答えず、無視を続けています。しかも、事業者に工事完了確認通知を出した時点では、県としての事業者への指導権限はなくなった、県にはもはや責任はないといって、完全に責任逃れの姿勢を明確にしています。
この県の無責任さについては、以下のサイトにもまとめてあります。こうした問題を踏まえると、今回の宍戸議員の指摘は全く的を得ており、県への強い申し入れを要請された馬場市長が、それこそ逃げ腰的なのは不思議でなりません。市が県と連携するのであれば、連携して事業者の責任を追及するのが筋であり、市民はまさに市長にそれを求めていくべきです。
→ 参考 ④本会の要望書に対する県知事・県庁の対応の経過(25/9-26/1)
⑤福島県森林保全課との面談記録by本会作成(26/1/16)
⑥本会と福島県森林保全課作成との面談記録by県庁作成(26/1/16)
⑦上記の⑤と⑥の比較から見える「県庁の仕事の流儀 II」
⑧福島県知事宛の再々質問状に対する回答 (26/6/24)
いずれにしても、今回の宍戸議員の質問、追及姿勢はご立派でした。市民生活を守る市議とは、こうあるべきです。市民の多くが毎日目にし、不愉快に思い、生活の安寧を脅かされている問題に対して声上げずして、市議の本分は果たさせるのでしょうか?他の議員にも後に続いてほしいです。