2026年8月25日、先達山の事業者であるAC7社は、自社のHPに光害についての報告書を掲載しました。そこには、当初のシミュレーションでは1-2分しか発生しないとされていた光害が、実際に観測した結果、場所によっては1時間以上も発生していることを認める内容でした。こうした大規模・長時間にわたる光害は、多くの市民が日々目撃しているものであり、すでに公然たる事実ですが、この度、事業者自らもこれを実査し、その発生を認めた事には意義があります。
もっとも、この報告は単に光害を発生させている事実を認めただけであり、何ら市民に謝罪することもなければ、是正措置も約束しておりません。単に調べてみたら、光害が出ていましたと報告しているだけであり、この事業者の社会的倫理観・責任感の薄さを感じさせるものとなっています。
➡ 参考 Amp社/AC7社、1か月以上も遅れてようやく「光害」報告書公表。市民への謝罪は一切なし。市長も記者会見で事業者に直接対話を求める姿勢 26/8/27
このタイミングに合わせて、2026年8月27日、福島市長の馬場雄基氏は記者会見を開き、その中で福島市で独自に進めている光害の現地調査の最新情報を公開し、さらに事業者の報告内容にも触れ、今後の市長・市側としての基本姿勢も明らかにしました。
この時の会見の様子は、後日、福島市のHP/ 公式Youtubeページで全面公開されております。
上がその時の会見内容ですが、これまでの経緯・文脈を知らない方には、多少理解が難しく、混乱する点がありますので、以下に少し解説を付します。
まず、福島市は今年の春から光害の実査をはじめ、その最初の報告(春季分)はすでに5月19日に公表しました。
→ 参考 福島市 現地調査結果(春季分とりまとめ)(PDFファイル:1.4MB)
この調査で明らかになったのが、先にAmp社/AC7社が提出した光害のシミュレーション予測では1-2分しか生じないとされていた光害が、実際には「8~53分間」も生じていた事実です。つまり、シミュレーションが全く現実を反映しておらず、事業者が意図的に過小な予測をしている疑いが濃厚となったわけです。
こうした市側と事業者の認識の差を埋めるべく、市側は事業者にも独自に実地調査(実査)をするように求めており、5月16日には市側の職員の立ち合いの下、Amp社(が委託した調査会社)が福島市の現場で光害の実査を行いました。
当初、Amp社はこの結果報告を2か月以内に報告すると言っておりましたが、これが実際に市側に提出されたのは約3か月後の8月10日(自社のHPでの公表は8/27)であり、その中で事業側も光害の継続時間が「25~64分」であると認めました(動画 9:45~10:30秒ごろ)。先に自社のシミュレーションでは「1‐2分」と予測しておきながら、それが市の調査によって「8~53分」と指摘されると、今になって自社でも調査したら、やはり「25~64分」でしたと認めたわけです。
さらに、市側が今回、事業者に先駆けて公表した夏季分の実査結果(6月16~8月6日に実施)に寄れば、光害の継続時間はさらに長く、「42~108分」に達することが判明しています(9:40秒前後)。事業者も追って、自社による夏季分の実査報告を市側に提出するとのことですが、おそらく、春季分と同じく、市側の調査とさほど変わらない長時間の光害の存在を認めるものと思われます。長時間の光害は事実であり、もはや誤魔化しや隠蔽など不可能なのです。
通常、こうした事態を招けば、いい加減な予測を出したことへのお詫び、その原因の究明、そして光害の緩和・解消に向けた対策を発表するのが、普通の企業です。しかし、Amp社/AC7社にはそうした姿勢は全く見られません。仮に意図的な虚偽でなくとも、結果的に市民を欺いてしまったことへの自覚と反省があれば、会社の責任者が記者会見などを開いて、直接に市民にお詫びし、至急の対応策を発表することが期待されて然るべきです。
しかし、Amp社/AC7社は相変わらず雲隠れしたままです。AC7社のHP上に掲載された報告書にも何ら謝罪の言葉はありません。
福島市民にさんざん迷惑と被害を与えておいて悪びれることない、この「カオナシ」企業。「カオナシ」事業。これを主導してきたAmp社、そしてそれを金銭面で支え、一緒に儲け続けて恥じないSBI新生銀行、東邦銀行、七十七銀行など融資銀行の面々や、Zエナジー、そしてその背景にいる日本の大企業/投資家たちの社会的無責任ぶりは、目を覆いたくなるばかりです。
さすがに、温厚・慎重で知られる馬場市長も、この先達山の事業/事業者の異常さには、遅ればせながら気づき始めたようであり、果たしてこの事業が市民と共存できるものなのか疑念を深めているようです。このことは、馬場市長本人が、今回の報告を踏まえて、企業の責任者と直接に会って話をしたいと公言した点にうかがえます(10:30~11:40秒ごろ)。
しかしながら、その当事者企業であるAmp社は、この1年間、市民の前から逃げ続け雲隠れしています。AC7社名でのメール対応ももう半年以上も放置しており、完全に住民対応を放棄しています。したがって、この市民から逃げ続ける事業者が、素直に市長との面談に応じるのかは疑問です。
→ 参考 ②自称「AC7社」の正体は「Amp社」ーカオナシ企業の住民対応(~25年7月末)
③「AC7社」を演じ続ける「Amp社」‐カオナシ企業の住民対応 II(~26年4月末)
とはいえ、さすがに市長に呼び出されては応じないわけにはいかないでしょう。しかし、この間、市民の前から雲隠れしていた企業が、市長に呼ばれた時だけ担当者を送るとなれば、それはそれでおかしな話です。
というのも、この先達山の開発や光害でより大きな迷惑や被害をこうむっているのは一般の市民です。しかも、市民の中には私たちも含めて、この光害についての説明や改善策をAmp社に求め続けてきた人々が多くおります。したがって、市長は確かに市民の代表であるとはいえ、この市長だけにあって説明をすれば済むという話ではありません。Amp社は市長との面談とは別に、市民に対しても開かれた場できちんと今回の問題の経緯や今後の対策について、自分の言葉で責任をもって語るべきです。また、市長もAmp社に対して、市民に対しても直接に説明する場を設けるように指示・要請すべきです。
もし、こうした市民への説明の場が約束されぬまま、仮に市長だけが事業者と会って話をするならば、市民から見えぬ密室で事業者との間に不透明な約束や交渉が行われたのではないかと、かえって市長や市政に対する疑惑を招きかねません。市長にはこのあたりをよく自覚され、仮に事業者を呼び出す場合には、その会話内容・指示内容などを全面的に公開する姿勢が求められますし、我々としてもこれを強く求めていきたく思います。
こうした疑念・危惧を持つには、十分な理由があります。
実際、市長は会見の中で、すでに今年の7月に、密かに事業者の立ち合いの下、先達山の太陽光発電所の敷地に内に立ち入って現地視察をしてきたことを明らかにしています(動画 11:40-12:10秒ごろ)。これは今回の会見が初めて明らかにされた事実だと思います。Amp社は市民の前から雲隠れして以降、現場施設の見学を求める市民の声を完全に無視し、メディアにも門を閉ざしてきました。そうした中、市長が特権を行使して現場視察を行ったのであれば、その事実を市民に知らせ、視察の報告内容を広く公表する必要があったのではないかと思います。今回の会見でも、単に事後的に現場視察をしていたと明かすだけでなく、そこで何を見て何を思い、そして事業者と何を話したのかを明らかにしなければ(メディアもこの点について質問すべき)、市民の間にはいらぬ疑惑・誤解を生みかねません。
さらに、今回の記者会見後の質疑応答の中では、8月10日に事業者が出してきた報告書に対して、市側が「補正せよ」と言って、二度も修正させたことも明らかにされました。これについては、メディアからの質問もあり、市側はあくまでも報告の足りない部分を予め補足して報告させただけであり、数値などいじらせていないと言っています(動画27:29~30:25秒頃)。
勿論、これを信じたくは思います。しかし、事業者の報告に問題があるのであれば、まずはそのまま市民に公開して、報告内容の問題を公に指摘したうえで、事業者に補正・再提出を求めるべきです。そうすることで、市側に対しても杜撰な報告を出してくる事業者の実態がより市民に伝わります。事前に市側が気を利かせて、これを修正してから出して欲しいなどと要請するのは、見方によっては市側が事業者のボロを隠し、事業/事業者への批判の高まりを回避するために協力していると疑われかねません。要は、市側が、中途半端に事業者と市民の間に入って情報の仲介をしようとすると、かえって、事業者に便宜を図っているとの疑いを招く恐れがあるのです。このあたりについては、メディアの方にも関心を持っていただき、市長/市側と事業者の間にどの程度の頻繁な接触あり、具体的にどのような話し合いがなされたのかについて調査報道をお願いしたいです。
なお、メディアといえば、今回の記者会見の質疑応答(18:45~)では、20分間に渡り、各社が先達山問題について集中的に質問しております。非常に活発な質疑応答で市民に益する点が多くありました。また、幸いにも、今回の記者会見で得られた情報については、翌日から地元紙をはじめ各社で報じられております。
以下では、地元で報じられた主なニュース記事を原文と共にコメント付きで紹介いたします。

まず、左は福島民友の1面記事。
地元紙の1面で、先達山問題が大きく取り上げられるのは極めて稀です。
ましてや、地元の行政や財政界への忖度になれ、先達山問題への報道を控える傾向にあった「民友」としてては、大変珍しいことです。
とはいえ、民友が先達山を記事にする時は、いつも市側の会見や報告で問題が明るみにされた時だけ。
単に行政の公表した事実を、後を追って報告しているだけ。単なる事実の羅列です。
この地元の重大問題を、自社の問題と捉えて、自ら調査し、自ら評価し、自ら報道するという姿勢は、相変わらず皆無です。
なお、記事の最後に事業者の「コメント」を載せていますが、これはAC7社がHPに掲載した文書から抜き書きであり、民友記者が事業者を取材して得た「コメント」ではありません。
そもそも、民友は、Amp社/AC7社が住民の前から逃亡し、説明責任を果たさない「カオナシ」事業であることを、これまで詳しく報じたことがありません。
福島市民に迷惑をかけながら、姿を隠して何もしない事業者の実態を伝えずして、こんなコメントだけ紹介してどうするんでしょうか?
民友の記者には、引き続き、地元民としてのプライド・批評精神の発揮を求め続けて生きたいと思います。
もう一皮、二皮むけていただかないと、地元紙に対する信頼回復は望めませんよ。

とはいえ、今回は1面記事に続いて、22面にも追加の記事を出したことは、大いに評価したいです。
しかも、しっかりと見出しで「市長、先達山事業者に要求」と、市長が対事業者の姿勢を変えつつあることを伝えてくれています
これを見て、ようやく市長も本気で先達山問題に向き合い始めたかと、励まされた(見直した)市民は多いと思います。
でも、民友さんが曲がりなりにも新聞社であるなら、市長が「話を聞きたい」と発言した事実を伝えるのではなく、それに先立って自社として事業者を取材し、「話を聞いてきた」ことを報じるべきでは?
民友さんは、今からでも、Amp社を取材したり、先達山の現地視察を求めたりしないんですか?
今まで自分から話を聞きに行っていないという異常さに気づきませんか?
もう一皮、二皮むけていただかないと「福島官友」のイメージは払拭されません。

こうした地元紙の消極的な報道姿勢は、もう一つの地元紙「福島民報」についても全く同じです。
左は「民報」の26/8/27の記事です。
事業者が光害を実査した結果、事前予測とは全く異なる結果となった事実を伝えながら、この事実が持つ意味や指し示す問題点については全く踏み込んで解説しません。
この予測と実際の著しい乖離は、この先達山事業者の企業としての信頼性を根底から揺さぶるような重大な事実であるのに、こうした点に対して読者の注意を促そうとしないのです。
要は、この事業の対住民姿勢・社会的責任上の問題について、一切触れようとしないのです。
やはり、この事業を支える県庁や東邦銀行など地元の政財界への忖度があるのでしょう。
だから私たちは言うんです。この新聞は「福島民報」ならぬ「福島官報」「財界報」だと。

こちらは翌日、8月28日の民報記事。
市長が先達山の光害=反射光が、「事故原因に」なり得ると発言したと報じております。
この発言は上記の会見動画の30:23~32:29秒の質疑で確認できます。
しかし、この動画を見ればわかる通り、この市長発言を引き出す質問をしたのは、朝日新聞の記者。
民報の記者は最後(45:43秒頃)にちょこっと質問した程度です。
他にも日経記者は、自らの取材経験に基づき、この光害が単に運転者にとって眩しいだけでなく、付近の水保小学校にも届いており、子供たちの教育への影響も案じられるとして、市長の見解を問うております(36:50~37:41秒頃)ので、こうした質問と比較すると、民報記者の質問の内容は乏しく、その消極姿勢が目立ちます。
地元紙として、本当に先達山問題に関心・熱意があるのか、疑ってしまいます。

さて、この記事掲載の翌週の民報には、左の記事がでました(2026年9月2日朝刊)
これによると、福島市は既存の再エネ規制条例を改正し、事業者に対して、環境や景観への配慮をこれまでの「努力義務」から、「義務」に引き上げる方向で検討しているとのことです。
また、既存の設備に対しても、維持管理計画の策定を義務付けるとのことで、誠に望ましい改正の方向です。
しかし、やはり民報社には、こうした地元の現在・将来に関わる重要なニュースについて、自社の見解や解説を付する姿勢はなく、単なる事実のメッセンジャーに徹します。

これと比べると、同日付の「福島民友」の方が、見出しも大きく、多少はマシ。
でも、やはり自社として、今回の規制評価をどのように評価するのかは、明らかにしません。
今後、市側はこの条例改正について、市民からの意見を募るようですが、果たして民報・民友さんは、市民を代表する言論機関として何らかの立場表明・社説を出すんでしょうか。注目です。
また、9月18日には環境審議委員会で、改正案についての議論もなされるようですから、これにもぜひ市民が多く参加し、市側や委員の熱意・本気度を確かめる必要がありそうです。
以上、長くなりましたが、この10日間で、福島市では、先達山問題をめぐる動きがいろいろとありました。
今後、Amp社/AC7社は、6月に行ったという光害調査(夏季分)も提出するということですから、これが出されたら、また市長・市民の疑心・怒りも高まることでしょう。
ともあれ、今後の展開には一層の市民の注視が求められます。諦めず、注視を続けましょう。