Amp社の光害をめぐる虚偽説明と市役所の怠慢

昨日(25/9/12)の朝日新聞に、左の記事が掲載されました。

先達山のメガソーラー事業者であるAmp社が、2024年9月以来、市民から苦情が相次ぐ「光害」について、1年間、何の措置も講じず、放置し続けたことを報じております。

そして記事の中では、福島市役所や福島県庁が、この「光害」を起こしたAmp社に改善のための有効な措置を取らせず、

「市民の生命・財産などに直ちに影響を及ぼすという認定はできない」

「なすすべがない」

などと弁明し、何ら積極的な行政指導に乗り出さない事実も伝えています。

この福島の地に「新しい公害」である「光害」をもたらしたAmp社と関連企業は、福島の行政当局者の傍観・不作為によって、何らその責任を問われることもなく、工事を完了させ、今月末からの売電開始で収益を手にしようとしているのです。

つまり、事実上、行政側は住民の苦情や懸念よりも、事業者の営業利益を優先し、公害企業の事業完成・継続を容認していると言っても過言ではありません。

そもそも、県も市も、Amp社の開発事業において、「光害」は発生させてはならないものということを大前提に考えていたはずです。

当然Amp社も、多くの文書の中でそれを約束しておりました。

実際、Amp社が開発前に提出した『環境影響評価書』にも、「環境保全措置」のひとつとして「光害が生じないように努める」ことが明記されています。

つまり「光害」が発生した時点で、Amp社は行政に約束した「環境保全」の約束を破ったことになります。

しかもこれは「景観」に関する環境保全措置のほんの一文に過ぎません。「反射」については、なぜか「反射はしない」という前提に立っているため、評価書の調査項目にすら選定されていません。項目選定不備、調査不十分ということは明白であり、法違反すら問える内容でしょう。

このような不備は環境影響評価法の根幹を揺るがしかねないものです。さらにいえば環境影響評価書は経産省の承認を受け、福島市との「事前協議書」や福島県への「林地開発許可申請書」にも添付された重要文書です。

通常、このような「調査・予測・評価における不備」には勧告や是正措置がなされ、これに従わない場合は事業者名の公表につながります。行政は、その権限を行使できるはずです。

であるにも関わらず、福島市および福島県は、こうした権限を一切行使しようとせず、「何もなすすべがない」などと、あり得ない弁明をしている。。。

こうした行政の姿勢は、事業者との「蜜月」を超えて、「癒着」を疑わせるほど不可解です。

ちなみに福島市は、すでに2025年4月の時点で、市民から反射光の光害を訴える声を十分に耳にしておりました。

そのため、Amp社と行われた4月の月例会議(4/24)の際に、この反射光を話題にしました。
(本会サイトに全文公開)
 福島市とAmp社の定例協議メモ(2025年4~8月)

といっても、自ら確認したわけではないので、「反射について意見があった」と他人事のように伝達しただけです。

当然、これを軽く見たAmp社は「市街地に反射光が届くことはない」と断言し、さらに「パネルが鏡のようになるので光って見える」だけと、おおよそ科学的知識があれば、吹き出すような珍名言を述べます。

しかし、市役所は、このAmp社のご高説に納得したのか、それ以上を問おうとせず、この重大なる環境問題が見逃されます。

さらに問題なのは、こうした行政の無能・怠慢・不作為を良いことに、Amp社は光害への対応を軽視し、行政に代わって光害への対応をいち早く求めた本会や住民に対して、公然と虚偽の説明を行ってきたことです。

本会はすでに2025年5月10日の対話会の時点で、Amp社に対して光害の問題を指摘し、対応を求めました。下記、映像の48:40秒過ぎをご参照ください。ちなみに、この対話会には、Amp社の経営責任者のマルティン・シュタイン氏も出席していました。

この時、本会の梅宮氏から反射光への対策を問われたAmp社の鈴木氏と長谷部氏は、現在、シミュレーションをやり直し、検証中であるとして、以下のように答えました(50:44秒過ぎ)

Amp鈴木
すいません、これ[シミュレーション]に関してはですね、もう1回やっています

Amp長谷部
要は、シミュレーションして、結果が違ってそうであれば再度シミュレーションするなり対応するなりはちゃんと考えています。

先注会・梅宮
結果は。その結果はもう出ているんですか?

Amp鈴木
結果はまだ出てないです。

さらに、鈴木氏は、次のようにも補足しました(54:31秒すぎ)。

Amp鈴木
…実際に反射するという意見を1番早いタイミングでは、そうですね、去年の11月ぐらいにいただいて、そこから検証し始めております。ただ、パネルの実際の設置がその11月の時点ではまだ非常に少なかったので、今大体50パーセントぐらいのパネル敷設が完了したっていうところで、これがどういう風に照射されるのか、反射されるのか、実際どうなのかっていうところは検証をしている最中でございます。

このようにAmp社鈴木氏は、光害への対応を求める住民の前で、その対応策として、すでに反射光のシミュレーションに着手し、その検証結果を待っている状態である、と説明していました。

左の資料は、その5/10の対話会の約二週間後に開かれた、Amp社と市役所との打合せの記録です。
 福島市とAmp社の定例協議メモ(2025年4~8月)

Amp社のみならず、市役所側も、光害問題について一切言及していません。

仮に市役所が4/23にAmp社からの「反射光が届くことはない」「光って見えるだけ」発言を鵜吞みにして信じていたとしても、5/10のAmp社と住民の対話会に担当者を同席させていれば、確実に光害の存在を知り、すでにAmp社が再検証のシミュレーションなど対応を開始していることを把握できたはずです。

実は、本会は、初めてAmp社との対話会を開催した3/13日から、市役所の関係部署に対して本会主催の対話会や報告会に参加を求め続けています、一貫して拒否し続けています。

ただし、仮に参加せずとも、その後、本会サイトで公開された対話会の議事録や映像を見れば、Amp社が5/10の時点で、光害の対応に着手しているとの情報を得る方法はありました。

実際、本会代表2名は後日、市役所担当者と面談した際に「貴会のサイトを度々閲覧しており、その活動内容については詳しく承知している」と聞いています。

結局、市役所は「見てるけど何もしない、おいしいところはいただく」という姿勢のようです。

というのも、実は5/10の対話会への参加を拒んだ市役所は、実はその直前に個別にAmp社CEOマルティン・シュタイン氏と面談しておりました。

先達山問題が深刻化して久しい中、それまで一度もAmp社CEOを呼びつけて指導することもなかった市役所が、本会が、様々な労苦と交渉の末に実現させたCEOとの対話会の機会をちゃっかり利用し、一応「要請」事項を伝えていたのです。

もっとも、これは「Amp社の表敬対応」の位置づけですから、呼びつけての指導ではありません。

別に本会が作り出した機会を利用するのは構わないのですが、それなら面談後にAmp社と一緒に住民対話会も傍聴し、その場でAmp社が住民に何を語るかも確認するべきだったのではないでしょうか?

そうすれば、市側は光害の実情や市民の世論をいち早く把握できたのみならず、Amp社の抱える住民対応上の問題を確かめることができたでしょう。

自ら市民の近くに歩み寄り、情報収集の機会をおろそかにするという意味で、市役所のこうした対応は愚行と言わねばなりません。

当然、CEOと面談しながら「光害」については一切言及しません。いまだに、鈴木氏の「光って見えるだけ」を信じていたのでしょう。

この鈍すぎる市役所がようやくAmp社に対して、光害への対応を正式に求めたのは、4月の光害への言及から2ヶ月以上も過ぎた、6月になってのことです。

左側が、6月の定例議事メモです。その内容には驚かされます。

市役所は、それまで「光っているようにみえる」だけというAmp社の説明を信じていたが、住民の苦情を受け、ようやく6月初旬になって光害を自らの目で確認したというのです。

本当にそれまで「光っているように見えるだけ」と思っていたのなら、呆れてものが言えません。

市内に居住している担当職員であれば、いくらでも自らの目で確認できる機会はあったでしょう。この間、寝ていたとしか思えません。いずれにしても、市役所の対応の鈍さには驚かされます。

しかし、同様に驚かされるのは、この時のAmp社(鈴木氏でしょう)の回答です。

「パネル反射については検証を進めていく」と答えています。

あれ、おかしいですね。5/10の対話会では、昨年から住民の苦情を受け「検証をしている最中でございます」とおっしゃってませんでしたっけ?

市側には、こうしたAmp社発言の矛盾に気づいた様子はありませんし、それ以上の追及はしません。

また、市側は「環境影響評価」に触れつつも、反射光が評価項目に挙げられていないことの選定不備の可能性を問うことすらできません。そうでしょう、環境影響評価は「県の仕事」ですから、「市には関係ない」のです。

「環境影響評価書」(日本気象協会が作成)では、左のような環境保全措置の一覧が付され「光害を生じさせないよう努力する」という文言が記載されています。

そして、パネルの配置や角度といった「設備配置に配慮することで、効果は確実」=光害の発生可能性はゼロである、と断言されています。

しがって当然、この工事の「実施に伴い生ずるおそれのある環境への影響」は「なし」というのが大前提でした。

市役所の担当者は、果たしてこうした内容を把握したうえで、Amp社に指導しているのでしょうか?

いずれにしても、上記の市側の打合せ記録からは、Amp社の重大な約束違反を追及しようという姿勢は全く感じられません。

また、繰り返しになりますが、Amp社が反射光のシミュレーションについて、住民側には異なる説明をしていることも、把握しているのかいないのか、全く問題視しません。

しかし、Amp社鈴木氏は、この市役所との打ち合わせの一週間後(7月1日)の住民対話会でも、改めて、反射光のシミュレーションはすでに実施中であり、その「進捗」状況を追っていると説明しています。

また、住民との質疑の中でも、鈴木氏は「今、シミュレーションをやっている業者さんに相談・・・」と、すでに外部の業者に委託して、シミュレーションを進めていることを明らかにしています。

なお、市役所は、この時も対話会への出席を拒否していますが、この内容についても、知ろうと思えば、本サイトの映像や議事録で確認はできたはずです。

このように鈍い反応を続けていた市役所が、ようやく目に見える形で文書を発したのは7月も半ばになってからのことです。

左の通り、7月14日付の市長名の文書にて、Amp社に対して、初めて光害への対応が正式に要請されました。

しかし、ここでも、市側の要請内容の文言を見る限り、市側は今からAmp社に対して「客観的に検証可能な形でデータを収集」、すなわちシミュレーションによる検証を求めています。

つまり、Amp社がシミュレーションにまだ着手していないため、それを実施し、「速やかに報告せよ」と求めているのです。

5/10以降のAmp社の住民説明は、行政側には全く認知されていないようです。

そしていつも思うのは、市役所は期限「いつまでに」を決めません。期限を決めなかったら、この報告がなされることは決してないでしょう。これも市役所からの「逃げ道プレゼント」の一つなのでしょうか。

この文書の説明が行われた7月23日のAmp社との協議において、市側は「まずはエビデンス[証拠]が必要」と述べています。

このエビデンスが、何を意味しているのかよくわかりませんが、反射光が市街地に届いているという証拠やデータを集めて欲しいと言っているように聞こえます。

要は先の市長名の要請にそって、再検証のためのシミュレーションを速やかに行えという意味と思われます。

そして、これに対してAmp社は「検証を進めて結果が出たら」と答えており、やはりシミュレーションは、これから実施されるものとして語られています。

なぜ、Amp社は、住民に話してきた通り、すでにシミュレーションには着手しており、一定の「進捗」があることを行政に報告しないのでしょう?

行政から速やかな報告を求められている以上、弁明が得意なAmp社が、すでに実行中のシミュレーションについて言及しないのは不自然極まりありません。

こうなると、Amp社が、それまで住民に対しては、すでに実施中であると説明してきたシミュレーションの話の信憑性が揺らぎます。

まさか、まさか、住民に対して、そんなあからさまなウソをつく企業などないでしょう・・・

と、信じた方は、Amp社の企業体質を知らなさすぎます。

Amp社が住民に対して虚偽説明を行ってきたことを示す決定的な証拠が、翌月8/21に開かれたAmp社と市役所の協議メモです。

ここで、パネルの反射の検証、すなわちシミュレーションについて聞かれたAmp社は、検証作業を引き受けてくれる業者も見つけられず、何の検証も進めていなかったこと認めたのです。

そして、さらに驚くべきは、こうしたAmp社の虚偽を前にしての市役所の対応です。

「早くしてね」程度の微温的な対応で済ませています。

この文書により、Amp社が5/10、7/1の二度にわたり、住民対話会で説明してきたシミュレーションの話が、完全なる作り話であったことが確認されました。

本会は住民に対して、こうしたウソを平然とつき続けてきたAmpという企業を恐ろしく思います。

もちろん、Amp社の虚偽、言い訳、言い逃れはこれに限った話ではありません。

しかし、光害という重大なる公害を引き起こし、眩しさで事故の危険性を訴える住民が現れてくる中、まるで速やかに対応しているかのように取り繕い、今日まで住民を欺き続けてきたAmp社の体質は極めて悪質です。

そして、こうしたAmp社の虚偽に対して、微温的な指導や要請でことを済ませ、何ら実質的な改善措置を取らせぬままに、工事を続けさせ、今や売電開始も認めようとする福島の行政は、もはやAmp社の虚偽の共犯者と化した感があります。

否、本来、Amp社に強力に指導できる権限を持ちながら、これを行使せずに放置しているという点では、むしろAmp社以上に、行政の責任を問うべきかもしれません。

いずれにしても、本会は先般、9月2日に県庁に提出した要望書でも、光害の対応がなされぬまで、工事完了の確認を留保するように求めました。

県庁は10月初めに回答する旨を伝えてきました。一か月後です。遅すぎます。

今月末に売電開始を認め、既成事実を作ろうということでしょうか?

ともあれ、私たちは、こうした行政の対応を注視し続けましょう。そして、果たしてそこに業者に対する過剰な配慮、忖度、そして癒着を疑わせる不透明な関係性が存在しないか、じっくりと見極め、検証して参りましょう。