本会はこれまでAC7社とAmp社の関係性が不明瞭であること、また住民対応に当たっているAmp社が、実際には福島の住民の安全や周辺環境に責任を担える事業者ではないことを指摘してきました。この問題は、2025年3月13日(木)に行われたAmp社代表と住民との直接対話を通じて、より一層明確となりました。以下では、Amp社がいかなる会社であるのか、そして日本・福島に進出後、何を行ってきたのかを整理してご説明します。なお、説明に先立って、本サイトの「①AC7合同会社について」にお目通しされると、理解がしやすくなりますので、お勧めします。
そのうえで、私たちの提示した事実や理解について、それが妥当であるかを確認するために、随時、Amp社に問いかける形で質問を提示したく思います。これをご覧になったAmp社は、住民との対話を避けることなく、疑念にはきちんと答えることを約束されていますので、迅速なご回答が寄せられることを期待しましょう。なお、Amp社から寄せられたご回答は、追って本サイトを通じて公開し、皆さんと共有します。
Amp社の日本進出と事業展開

Amp社は、2009年にカナダで設立された再エネ投資会社です。
この会社は、再エネ普及により地球環境の改善貢献するなど言っていますが、これは単なる大義名分。
あくまでも、再エネ事業で儲ける投資会社です。
同社は日本を重点投資国の一つに位置付けており、2016年に進出を開始しています。

投資会社ですから、当然、金儲け、つまり利益獲得が最優先。
そのためには、環境や景観を犠牲にすることを恥じません。
日々、壊されていく先達山。失われゆく吾妻山の景観。
これこそが、Amp社が環境的価値より、企業利益を優先する会社であることの最良の証。
問1 先達山における大規模な森林伐採・林地造成は、明らかに自然環境の改変であり、破壊です。
それでもAmp社が、この開発を強行する理由は「発電事業による利益獲得」以外に何かあり得るでしょうか?
問2 Amp社ホームページでは”Sendatsuyama”が宣伝されています。Amp社にとって、Sendatsuyamaとは、なぜ価値があり、宣伝に値すると考えられるのでしょうか?

Amp社に日本進出時から、Amp社と一体となって再エネ事業を展開してきたのが新生銀行。
Amp社が最初に目を付けた福島市の開発案件も、新生銀行が資金面で支えました。2017年7月のことです。
この時、新生銀行は、Amp社が福島市東部にある太陽光発電事業を買収するための融資を行いました。
この発電施設は台湾企業が事業者として設置許可を得ていたものです。

この発電施設の名称は「福島ソーラーパーク」
発電容量14.7メガワット。まさに「メガソーラー」。
用地面積は東京ドーム4個分。
形式としては、Amp社が金を出して作った「ASGJ PROJECT2」という合同会社が所有しました。
そして、新生銀行は、この合同会社への融資を通じて、Amp社の発電施設取得を助けたのです。

福島のみなさん、これがどこの発電所の話かわかりますか?
先達山ではありません。
「じょーもぴあ」の隣って言えば、わかるかな。

そう、阿武隈川の東側。宮畑にあります。
縄文時代の遺跡を保存している福島市の公園の隣です。
縄文人の営んでいた自然と調和した素朴な暮らしと文化を学び、
静かに古代人に思いを馳せるそんな空間と時間。
それを見事に壊してくれたAmp社のメガソーラー。
問3 このメガソーラー事業において、縄文遺跡と市民公園という周辺環境との調和について、Amp社が考慮した事実はありますか?
それを資金面でアシストした新生銀行。
そして、そうした事業を許可した福島県と福島市。
先達山問題は、今に始まったのではありません。

この時期、Amp社は、福島以外にも進出していました。
Amp社が「じょーもぴあ」の発電所を所有するために作った合同会社の名前は「ASGJ PROJECT2」でしたね。
ということは、「PROJECT1」があります。
それが山口県柳井市の伊陸地区にある発電所です。
柳井市も伊陸(いかち)も初めて聞く名前の方、多いでしょう。
瀬戸内海に面した風光明媚なところみたいです。
でも、山の上には、こんな無粋な「メガソーラー」。
日本全国、こんな風景が広がりつつあります。

でも、Amp社進出の当初、柳井市では、立派な発電施設ができると歓迎ムードだったみたいです。
報道も出ています。
ちなみに、この時のAmp社の社長は、笠松純氏。
外資系のAmp社も、当時は、日本人の社長だったんですね。
ちなみに、この名前、憶えていてください。
後でも出てきます。
問4 日本進出に際してAmp社が笠松氏を抜擢した理由は何ですか?また、左記の記事では笠松氏はAmp(株)「社長」とされています。これは法人の正式な職位ですか?また、後に「代表」という別の肩書を使うようになった理由は何ですか?

さて、柳井市では歓迎されたとはいえ、Amp社がいつも歓迎されていたわけではありません。
それどころか、迷惑施設を持ち込む事業者として、住民の反発を受け、計画を撤回させられたことさえあります。
それが、2018年にAmp社が舞鶴に計画した「パーム油バイオマス発電所」です。
Amp社は「再エネ」に名を借りて儲かるのであれば、何でも手を出すみたいです。
ただ、どこでも行政は、こういうの好きみたいです。再エネ普及が国策ですから、点数稼げると思うんでしょう。
実際、舞鶴市も乗り気でした。詳しい計画はこちら。
でも、住民が反対の声を上げて団結し、Amp社を撤退させたのです。

住民が反対したのは、舞鶴港湾内の環境悪化や騒音だけではありません。
そもそも、Amp社が「再エネ」に名を借りて推進しようとするパーム油バイオマス発電が、外国の森林資源を伐採・破壊して成り立つ環境破壊案件であったからです。
ですから、国内外の環境団体も、Amp社の動きを「注視」しつつ、住民への支援もしていたようです。
実際、Amp社の撤退は各種団体によって大きく報じられております。
逆に言えば、Amp社は福島に入ってくる以前から、環境破壊をともなうような問題案件を推進する企業だったのです。
ただし、住民の反対を受けて計画を撤回した点では、まだ良識があったようにも見受けられます。
問5 舞鶴にて、これだけ住民からの猛反発を受け、事業撤退に追い込まれた理由を、Amp社はどのように理解し、受け止めていますか?反省すべき点はあると考えますか?

とはいえ、先達山では住民の反発を無視して、環境破壊を続けるAmp社が住民の反対だけで徹底したとは信じられません。
そう思っていたら、気になる新聞記事見つけました。
Amp社が舞鶴で住民からの反発に直面するさなか、『京都民報』が報じたものです。
ちょっと、驚きました。
そこで、私たちは、本会主催のAmp社社との対話会(2025/3/13開催)で、同社の法務担当の長谷部剛氏に聞いてみました。
長谷部氏いわく「誤報です」「このような記事に書かれている事実は確認できませんでした」「きちんと調査しております」とのお答え。

だとしたら、こんな不当な記事を書かれたAmp社はさぞ迷惑であったでしょうし、社長の名誉のために戦われたことでしょう。
でも、実際には『京都民報』の記事の直後に起きたことは、違います。
まず、記事が出てから、半年内にAmp社は舞鶴の事業から撤退。
そして、笠原氏はいつの間にか退任。
代わりに、マルティン・シュタイン氏が代表となりました。
この退任の経緯についても、長谷部氏に聞いてみました。
長谷部氏いわく「この件[京都民報報道]と笠松が退任したことについては関係はございません」。
「じゃあ、個人的な事情で会社を去ったわけですか?」
長谷部氏「分かんないです。もしかしたら、うちよりいい給与提示されたので金に目が眩んで行ったのかもしれないです」(2025/3/13の住民対話での発言)
自社の元社長に対して、こんな言い方できる法務担当。Amp社の企業風土を感じさせてくれる発言です。

ともあれ、笠松氏の不可解な退任後、代わりに代表となったのが、マルティン・シュタイン氏。元新生銀行社員です。
その直後の行動を報じた記事のひとつが左。
Amp社が上でも触れた柳井市のメガソーラー設置地区の住民に対して寄付金を贈呈したという話です。
何で今さら。しかも、その名目が面白い。
「同地区内に設置するLED防犯灯及び20年間の電気代」
そして、その額、なんと950万。しかも一括払い。
でも、自治会って年間50万も電気代かかるかしら?しかも、現金で前払いでもらったら、他の用途にも使えそう。
これを「地域貢献」と呼ぶAmp社。それを「伊陸地区の安心安全な地域づくりに寄与」と喜んで受け取る柳井市。
問6 Amp社が、自治会の電気代を払う理由は何でしょうか?なぜ、それが地域貢献となるとお考えでしょうか?発電事業者であれば、地元自治体・住民らと共同の発電事業は考慮されなかったのでしょうか?

さて、話を元に戻しましょう。
実は、笠松氏が社長時代の2018年頃から、Amp社は福島の先達山に手を伸ばしてきておりました。
これは2019年4月に、Amp社が福島市や住民向けの説明会に用いていた資料です。
当初、Amp社は「高湯温泉太陽光発電所」という名称を用いていました。
「高湯温泉太陽光発電所」と聞けば、福島の人々は、高湯街道を上った谷間の温泉街にできる発電所を想像します。
まさか、福島市街に面した吾妻山麓を切り崩して作る発電所なんて夢にも思いません。
問7 当初「高湯温太陽光発電所」と命名した理由は何ですか?また、いつの時点で、どのような理由から「先達山太陽光発電所」と改名しましたか?

それはさてきおき、この福島市向けの説明会資料は、「AC7合同会社」の名前で作られています。
本サイトの別項で詳しく説明するように、AC7社は、Amp社が先達山を開発するために作った会社です。
そして、Amp社が、このAC7社を通じて、先達山開発を進めていくことが、この説明会資料でも明言されています。
つまり、この時点では、Amp社は自らが事業責任者であることを認めていました。

この時のAmp社の代表が、笠松純氏でした。
この資料が作られたのは2019年4月。
『京都民報』が暴力団との関係疑惑を報じる五カ月前です。

この笠松代表時代に、Amp社は先達山の用地を取得しました。
左は2018年3月29日付で、Amp社が、前所有者である福島興行株式会社と交わした不動産譲渡契約書です。
実はこの福島興業の土地を使って、太陽光事業を営む権利を先に認定されていた会社(いわゆるFIT認定業者)がありました。
ジャパンパワーサプライという会社です。
問8 この当初のFIT認定事業者名については、2025/1/14の住民対話の際にお尋ねし、Amp社鈴木氏は開示可能か調べて検討すると約束しながら、結局、何の返答もしませんでした。なぜでしょうか?
左の契約書は、Amp社が、この用地と太陽光事業の権利をまとめて購入したことを示しています。

このジャパンパワーサプライは、すでに2014年の時点で、FIT認定を受けておりました。
この時点で、国が定めていた固定買取価格、すなわち業者から見た売電価格は、1kWh当たり32円。
ちなみに2024年の売電価格は、1kWhあたり16円。
ちょうど倍です。
Amp社は、2014年度の固定価格で売電できるおいしい権利を用地もろとも買い上げたわけです。

こうして用地取得の見通しが立つ頃に、Amp社は、AC7合同会社を立ち上げ(組成)ました。
そして、この合同会社に、ジャパンパワーサプライの持っていたFIT認定事業者としての資格・権利を継承させました。
また、それと合わせて、事業計画変更を経産省に提出し、正式にFIT事業者としての認定を受けました。

先達山用地の所有者となったAC7社は、福島市に国土利用計画法に基づく土地取引に関する届け出も行いました。
こうした一連の実務を担ったのは、AC7社の実質的支配者であるAmp社です。
左の委任状が示すように、Amp社は、形式上はAC7社から業務を委託された業者のように見えますが、実際にはAC7社=Amp社であり、Amp社が自社の利益のために動いています。
こうして、笠松代表時代に、Amp社は先達山用地の取得、FIT認定、市への届出など受容な作業を行いました。

ところで、この時期を、Amp社の林地開発許可の取得過程と照らし合わせたのが左の図です。
実は、この時期は、福島市で住民向けの説明会が行われていました。笠松代表も来福されたことがあったのでしょうか?
いずれにしても『京都民報』の報道記事が出たのは、2019年9月。まさにこの時期に重なっています。
そして、報道後にAmp社は舞鶴から撤退し、笠松氏も退任。
他方、福島ではマルティン・シュタイン新代表の下で、Amp社は住民の反発を無視して、先達山開発計画に向けて前進。
問9 舞鶴では住民の反対の声に耳を傾けた(と思われる)結果、事業計画を断念したAmp社が、福島では反対の声をよそに事業を強行した理由は何ですか?舞鶴との違いは何ですか?

先にマルティン新社長が、就任早々に、柳井市の伊陸地区に、電気代をプレゼントしてくださった記事を紹介しました。
やはり寒い北の国から来る会社は、サンタさん気質があるんでしょうか。あちこちに気前よくお金を出してくれます。
福島でもそうです。恩恵を受けた人々の中には、福島の一部の企業も含まれます。
代表的なのは、われらが福島ユナイテッド。
実は、Amp社は2020年から、原発事故による風評被害の払拭を願って作られた「桃のユニフォーム」に広告を出してました。
ユナイテッドファンの方なら、かすかにご記憶かも。

Amp社は、時々、親子サッカー教室を開催したりもしてました。
やはり、サンタさん企業は、子供にもやさしいんですね。
福嶋火之助君も、大喜びだったことでしょう。
Ampのロゴと、ユナイテッドのエンブレムのコラボ。
なかなか壮観です。
ちなみに、この頃は、先達山にはげ山が出現する前。
おそらくユナイテッドもAmp社の事業内容を詳しくは知らなかったでしょう。

ただし、2023年夏ともなれば、話は違います。
この頃には、先達山の破壊は深刻度を増し、市街地からも巨大なはげ山が見えるようになっていました。
このタイミングで、ユナイテッドが作ったのが「唯一無二のふくしまSDGsユニフォーム」。
ユナイテッド広報によれば「サステナブル福島を発足し、スポーツ×農業×SDGsによる社会貢献活動に、より一層力を入れて取り組んでいく決意をユニフォームで表現」したそうです。
それは、それでいいんだけどさ。
ブルーのトップのイラスト見てよ。我らが愛しの吾妻山。
ブルーのパンツ裏面のロゴ見てよ。我らがAmp社のロゴ。

ユナイテッドさんは、本当に知らなかったのかな?
Amp社が何をしているのか?
SDGsユニフォームの胸に燦然と輝く吾妻山。
でも、本物の吾妻山は、当時、こんな風にされてましたよ。
問10 吾妻山の景観を破壊しながら、吾妻山をモチーフにしたユニフォームに広告を出すことへの矛盾を感じたことがありますか?
こんな会社が広告を出す「SDGsユニフォーム」。まさに唯一無二
ブラック・ユーモアとしても笑えません。怒りが込み上げます。
でも、今は何とかこらえて笑点流に笑い飛ばします。そして、後で泣きます。
社員「代表、パンツの表じゃなくて、裏にロゴ入れました」
代表「よくやった。謙虚で、奥ゆかしくて、我が社らしい。」
社員「いえいえ、我が社は表よりも裏でよく動くんです!」
昇太「はい、山田君、先注会に座布団一枚持ってきてー」
「ついでに、義援金の金一封も。」

笑っていただけましたか?そして、泣いていただけましたか?
若い方は「笑点」ご存じないもしれませんね。
ぜひ、たまには日曜日の夕方5時半ごろにFCT見てください。
FCTに触れたついでに、ニュースご紹介。
Amp社が、SDGsユニフォームに広告出していた頃の先達山の様子です。(本サイトの「テレビ報道」欄に動画リンクあります)
あまりの景観破壊のひどさに、木幡市長ですら「ノーモアメガソーラー」を宣言するに至ったのが、まさに同じ頃なんです。
市長は、景観破壊の当事者企業が、自分の街のサッカークラブのスポンサーだってご存じでしたか?

ちなみに、理由はよくわかりませんが、Amp社は2024年から、スポンサー広告を出してないようです。
問10 2024年度以降は、スポンサーを正式に降りたのでしょうか?その理由は何ですか?Amp社は福島ユナイテッド以外の企業のスポンサーはされないのでしょうか?
でも、Amp社が広告止めても、全然、問題は変わりません。
というのも、長らくユナイテッドのスポンサーであり、今日もなおメインスポンサーに君臨するのが、東邦銀行だからです。
本サイトでも再三、紹介しておりますが、東邦銀行さんは先達山案件に20億円融資して、毎年3000万円ほどの利息収益を得ています。
しかも、本会が東邦銀行さんに送った質問状の回答を見ても、今後とも先達山への融資を見直す意向はないとのこと。
(本会質問状への回答はこちら)

考えてみれば、ユナイテッドの本拠地である県営あづま陸上競技場の命名権を買って「とうほう・みんなのスタジアム」に変えて下さったのも東邦銀行さんでしたね。
ちなみに、命名権の契約金額は、2023ー2033年度までの10年間で、3億8500万円(福島県の発表はこちら)でした。
つまり、東邦銀行は福島県に広告費を3.8億円払ったようなものです。福島県知事は喜んでいるかもしれません。
でもね、県民の皆さん。東邦銀行さんの儲けには、Amp社(AC7社)に貸した金の利息も入ってるんですよ。毎年、3000万円も。
命名権の購入資金だって、Amp社がこの先二十年ぐらい発電事業を続ければ、東邦さんは利息収入だけでも回収できちゃう。
ユナイテッドファンの皆さん、選手の皆さん。皆さんには直接的には何の責任もないです。でも覚えていてください。
TOHOのロゴがグランドで輝くとき、先達山を見て泣いている人々がいるということを。しかも、大勢いるということを。
吾妻を望む校庭で白球を追う野球少年も含めて。
そして、思い出してください。
ユナイテッドは、サステイナブル福島を目指していたはずだと。
なんだか、最後は悲しい湿っぽい話になりましたね。
でも、これがこの街の現実。この街の企業の現実。この街の政治の現実。
だからって、皆さん、座して待ちますか?何も知らぬふり、見て見ぬふりで、いられますか?
元気出しましょう。声を出しましょう。歌いましょう。
ひとつ替え歌なんてどうでしょう。こんな歌作ってみました。(リンクはこちら)
歌って、元気がでたら「注視」に参加しませんか?