福島市とAmp社のなれ合い①市民団体・住民の動向把握

先に「Amp社の光害をめぐる虚偽説明と市役所の怠慢」で指摘したように、福島市役所はAmp社が引き起こした光害に対して断固たる指導や改善措置を求めておらず、今日まで何ら実効性ある対応を取っておりません。市役所のAmp社に対する対応は常に微温的であり、たまに口頭や文書での指導や要請がなされても、それを断固として実行させる姿勢は皆無です。この結果、Amp社がは無期限に対応を先延ばしにし、市役所がそれを容認・黙認するお芝居が繰り返されています。

こうした両者のなれあいの関係をさらに裏付けるのが、福島市がこの間、Amp社を通じて市民団体や個人の動向について情報を収集してきたという事実です。本会が福島市から開示請求して取得したAmp社との定例協議のメモからは、福島市とAmp社が、先達山開発に懸念や異議を持つ市民団体や個人の動向について積極的な情報共有をはかっていたことが確認できます。

 これらの文書の中には、福島市は事業者を通じて、住民の動向を把握し、監視していたと疑われても仕方ないような内容も含まれます。こうした行為が全く福島市内部では問題視されていないのは、実に末恐ろしいことです。以下、その要点を紹介します。

そもそも、市役所とAmp社の月例の定期協議が始まったのは、2025年6月のことです。

この月初めにAmp社は土砂流出事故を起こしました。

この時にAmp社の対応が遅く、かつ県にだけ報告を入れていたことに怒った福島市は、Amp社を呼び「厳重注意」をしました。

そして、これが契機となり、以後、毎月欠かさず、両者間での定期協議が開かれるようになりました。

土砂流出事故以後の最初の協議は、6/21です。

左のメモは、その抜粋です。

この定例協議の場を通じて、Amp社から市役所にこまごまとした報告があげられるようになったことが分かります。

例えば、事故のお詫び・釈明あるいはカモフラージュのためでしょうか。最大融資者のSBI新生銀行の市役所訪問といった計画も報告されています。

ちなみに、この「報告書」には作成者が明記されておらず、中身によってはAmp社が作成したように見受けられる部分もあります。

しかし、仮にAmp社が原案を作ったとしても、これが公文書として開示されてきた以上、その中身は市役所が了承し、両者共通の公的な記録として認識されてきたことは間違いないと思われます。

よって、以下では、これを市役所の文書として論を進めます。

さて、この協議メモには、Amp社と接触した団体名や個人名が、左のような文脈で市側に報告されます。

Amp社はこうした情報の提供により、住民対応をしっかりやっていと市役所にアピールする狙いがあるようです。

また、市役所側にもこうした情報を事前に得ることで、後日、議員・住民・メディアの対応に備えることができるメリットがあるようです。

その後も、Amp社と市役所の間では、毎月のように住民の個人名をあげて、その行動や今後の対応について話し合いがもたれています。

もちろん、これらの個人の中には、すでにAmp社と市役所が共に個別に面識があり、こうした情報交換がなされて問題はないと判断された場合もあったでしょう。

しかし、それを望まない、あるいはそうした情報交換が行われることを全く知らずに、Amp社から一方的に個人情報を流されていた市民もおります。

その確実な証拠が、25/1/10の定例会議でのAmp社の報告事項です。

ここで黒塗されている個人名は、まさにこの文章を書いている本会代表の松谷です。

ちなみに、この時点で本会は結成されておりません。当時、松谷は単に地域住民の一人として、Amp社の現場担当の鈴木氏に面談と住民視察の許可をメールで申し入れていたにすぎません。

[なお、この時の鈴木氏とのやり取りは、本サイトの③Amp社との対話備忘録 I 24/12/7~25/1/20)に公開されています]

ところが、鈴木氏はまだ直接の面識もない住民である松谷の個人名と勤務先を行政側に報告し、さらに「攻撃的な人、反対者」という注意喚起まで行っていたのです。

そして、福島市はこのAmp社の「情報提供」の形式や中身を全く問題視することなく、それをそのまま記録し、公文書として保管しているのです。

そこには、住民のプライバシーや行政としての中立性への配慮は皆無です。

こうした情報が軽々しく共有され、記録されているところに、福島市とAmp社の馴れ合い、いや共犯的な関係が垣間見えるのです。

当然、こうしたAmp社から市役所への「御注進」は続きます。

翌月には松谷との面談の事実に加えて、来月の対話会への参加意向が報告されています。

新たに結成された「先達山を注視する会」との対話会にも応じることになったこともいち早く報告されています。

ちなみに2月21日の時点では、本会は、Amp社から対話会出席する旨の最終的回答は得ておりません(Amp社との対話備忘録 II(25/1/20~2/27)参照)

対話相手の住民に先立って、まずは行政への報告ならびに「御注進」するのがAmp社です。

そして、この事業者から情報を得て、対話会への処し方を検討するのが市役所です。

ちなみに、翌月にAmp社が対話会について市役所に報告したのは、対話会で得た情報を「偏向報道」した朝日新聞への抗議に関してのみ。

同じ対話会の場で、本会や住民から、先達山工事に関して様々な疑問や課題を突き付けられた「都合の悪い事実」については、一切報告しません。

また、住民からの要望・突き上げの結果、ようやく応じた5月の対話会や現地見学についても、そのやり取りの詳細は一切明かしません。

[この間の本会とAmp社とのやり取りの実際は、Amp社との対話備忘録 IV(25/3/15~5/8をご参照]

それでは、市役所側はAmp社がしきりに報告を寄せてくる先注会をどのように認識していたのでしょうか?

現時点でそれを知る手がかりのひとつが左の資料です。

これは、本会の現地視察に先立って、Amp社が福島市の担当者を先達山に案内した時の記録です(この記録自体は福島県の開示資料に含まれていた資料です)。

そこには、市役所側が、最近、パネルの反射光について「某市民」が「某サイトで騒いで」いるので、きちんと対応を準備するようにAmp社に指示したことが記されています。

この「某サイト」「某市民」が我々先注会を指すことは明らかです。

反射の証拠となる写真をHPに公開し、いち早く光害の可能性を示唆していた我々を、市役所が煩わしい存在として揶揄的に語っていたことがうかがえます。

この文書は確かにAmp社が作成したものですが、このような表現や内容を堂々と行政機関に提出してはばからないことを見れば、Amp社は行政側も自分たちと同じ感覚・立場であることに自信を持っていたに違いありません。

このように福島市とは、Amp社にとって物分かりの良い、話の通じる相手であり、ものを言う市民の情報を共有したり、揶揄したりできるような間柄なのです。

こんな行政とAmp社の関係を知らずにいた我々がお馬鹿さんだったということでしょう。

以上、紹介した記録は、この協議メモのほんの一部です。市役所とAmp社のなれ合いは、住民対応だけでなく、光害、景観予測、緑化など、他の問題への対応にも見られますので、今後、追ってテーマごとに解説したく思います。

最後にもう一つ。市役所とAmp社のなれ合いの定例協議は、現在も継続されております。しかし、2025年8月のメモからは、それまでメモの最後に必ず記載されていた次回(9月)の会議予定日が記載されなくなりました。[同資料は、福島市とAmp社の定例協議メモ(2025年4~8月)に掲載)。この点について市役所に問い合わせたところ、「当日時点で開催方法、開催場所が決定していなかった」と9/17付で回答ありましたが、それではその後に決まった日時や場所について明らかにするかと言えば、明らかにしない。

 どうやら、市役所とAmp社は、今月からは市民の目から隠れて協議をしたいようです。当然、内容も知られたくないのでしょう。市民の目から隠そうとすればするほど、かえって癒着を疑われることを、福島市役所はいまだに理解しないようです。このまま秘密裏にAmp社と協議を続けていくつもりでしょうか?今や、我々が最も注視すべきは事業者から行政に移りつつあります。