AC7社/Amp社の責任範囲

2024年6月2日、先達山のメガソーラー建設工事現場から、土砂流出事故が発生しました。

流れた出した土砂と泥水は、西側の県道に流れ出し、通行を不能としました。

また反対側の金堀沢に泥水が流れ込み、きれいな沢が汚されました。

この事故はさらなる大規模な事故発生を予想させるものであり、近隣住民を極度の不安に陥れたのみならず、福島市全域の市民からの強烈な批判と反発を招きました。

これがきっかけで、福島市が市役所のサイトに「先達山特設ページ」を設け、事業者情報や事故対応に関する情報を提供するようになりました。

また、この事故が契機となり、福島市長が「ノーモアメガソーラー宣言」を出す事態となりました。

この市役所の先達山特設ページには、AC7社が事故後に提出した「顛末書」が掲載されています。

この中で、AC7社は、建設現場からの泥酔を溜める沈砂池や調整池の処理能力が足りず、「本来であれば、工事期間中に十分な防災対策をとるべきところ、その実施が不徹底であったこと」を認めています。

しかし、すでに触れた通り、AC7社には従業員はいません。

土砂流出事故のような緊急事態に、一体、どうやって対応したのでしょうか?顛末書の作成者は、AC7社の職務執行者の中村武氏になっていますが、この方は、これまで現場に姿を見せたこともなく、住民に会ったこともありません。

そもそも、この顛末書が出されたのは、事故から5日も過ぎた6月7日です。しかも、重大な事故の顛末書にもかかわらず、AC7社の社印はなく、パソコンで簡単に作成できるわずか2枚のものです。

こうした点に照らすと、作成者もおそらくAmp社であり、住民窓口担当の鈴木氏あたりが作成したのではないかと思われます。

そうだとすれば、さらに問題なのは、その一週間後には市役所環境部あてに遅れられてきた「先達山太陽光発電施設 特設ページについて」と題する文書です。

これは、内容面で見ると、市が事故後に開設した特設ページの内容に対する修正要望書です。

細かいので主な要点を整理したのが、左図です。

事故を起こした当事者の企業が、わずか一週間で、今度は市役所の説明が不十分や誤解を招くと言って、様々な要望を寄せてきているのです。

こうした文書を作成したのもAmp社と思われますが、施設所有者ではなく、たかが管理業務を委託された業者が、このような要望をする権利は一体どこにあるのでしょうか?

私たちは福島市役所環境部にAC7社の実態、Amp社との関係性ををどの程度把握しているのか、社印のない文書をおかしいと思わないのか尋ねてみました。

残念ながら、福島市役所の環境部は全くこうした問題意識はありませんでした。市も県もそうですが、いつも先達山の問題については「事業者を指導します」の繰り返し。

でも、行政の方々が事業者と呼んでいるのは、実は管理業務委託者に過ぎないAmp社の鈴木さんのことなのではないでしょうか?

振り返ってみれば、経産省がAC7社の環境影響評価準備書を適正と判断したのも、福島県が「林地開発許可」を出したのも、世界的な再エネ企業であるAmp社がAC7社を組成し、長期にわたって発電所の「保有と運営」を行うことが前提だったと思われます。

しかし、実際にはAmp社は、すでにAC7社への出資をやめており(これを長谷部氏は配当を受ける権利を他社に売却と明言)、発電所の保有者から管理を委託された業者となっています。

したがって、単なる管理業務者に過ぎないAmp社が、先達山の環境保全、防災、周辺住民の生命保護に対して、長期的なコミットメント・本気度を求めるのは難しいと思われます。

AC7社が企業情報を外部に公開しないため、私たち住民は同社の本当の責任者、すなわち最大の出資者を知ることもできず、それゆえに発電所施設の所有者に対する責任を求め続けることもできないのです。

誰が最終責任者かも曖昧なまま、巨大な先達山事業がすすめられ、住民を不安にさせ、悲しませる環境破壊が続けられていく。これほどの無責任体制が放置されているのは、由々しきことに思えます。

AC7社の陰に隠れて、住民に対する重要な責任を回避しているのは、Amp社に限ったことではありません。

建設工事を担った奥村組も同様です。

私たちは、Amp社との対話時に奥村組関係者が同席していたことを踏まえて、奥村組はAmp社が求めてきた「誓約書」についてどう考えているか、Amp社の同席なく、奥村組だけで住民と対話する意思はないかなどを尋ねてみました。

その答えは左の通りです。自分たちはAC7社の下請けにすぎず、住民の質問に直接答える立場にないというのです。

あれだけ大規模な伐採・造成工事をやっている奥村組が、近隣住民が抱える不安や懸念解消には、何ら責任は持たないと言わんばかりの主張をからは、同社がAC7社を「隠れ蓑」として利用していると見えなくもありません。

こうした姿勢は、東芝プラントも全く同じです。

自分たちは下請けである。

AC7社を通して話してほしい。

だから、あなた方住民のような方とは直接話したくない。

もう、連絡しないでくれと言わんばかりのお答え。

こうした企業が、先達山に十万枚のパネルを張るのです。

このパネルの撤去やリサイクルについて、この会社がどう考えているのか聞きたくとも、住民は直接は聞けないわけです。

すべてはAC7社、そしてその名代の管理業者のAmp社に任せ、自らは説明責任を問われない。結構なご身分に見えます。

大企業でありながら、下請け業者に過ぎないので、請負先のAC7社を通さなければ、住民とは話さないという奥村組・東芝プラントと比べれと、AC7社への融資を公表している新生銀行の対応は多少違いました。

私たちが新生銀行の「グリーンローン」が、先達山の土砂流出事故を起こした事実を指摘し、融資元としての責任を問うたところ、同社は「貸出人として非常に重く受け止めている」と認めました。

しかし、もはや事業主ではないAmp社に対して指導を申し入れることで対応できる考えているのはおかしな話です。

もしかすると、新生銀行も、Amp社が今でもAC7の出資者であると思っているのかもしれません。このあたり、今後、さらに新生銀行にお尋ねして確認する必要がありそうです。

AC7社へのシンジゲートローン加わった他の地銀の見解も聞いてみました。

まず、東邦銀行です。広報課に電話したら、完全な門前払い。こちらは融資した事実を前提に問い合わせているのに、先方は融資の事実の有無も答えない姿勢。

仕方なく、頭取宛に質問状を送りました。左が要点です。

2月11日までの回答を求めたところ、本当にぎりぎりの2月11日に回答を頂きました。ありがとうございます。

でも、窓口で門前払いされた人間が、頭取から直接返事がもらえるのも不思議な感じがしました。ともあれ、東邦銀行がようやく公けに先達山案件への融資の事実を認め、私たち住民の問題提起に回答してくださったことは、大きな変化で嬉しく思います。 

頂いた回答は、現在、精読中です。いずれ、皆さまにも公開します。 ⇒ 2月13日 更新。本サイト「融資銀行からの回答」をご参照ください。