静岡銀行ーAmp社事業を支える第一地銀

Amp社の先達山開発を資金面で支えるのは新生銀行だけではありません。本サイトの各所で言及してきた通り、Amp社事業を資金面で支えるのは新生銀行をアレンジャーとする複数の銀行であり、日本各地の七つの地方銀行が協調融資(シンジゲートローン参画)しています。この中で、最大額の30億円を融資しているのが静岡銀行です。

もちろん、この融資額は新生銀行と比べれば小さなものです。しかし、それだからといって、静岡銀行が、私たち福島の民を苦しめる環境・景観破壊案件への融資を続けている社会的責任、説明責任を逃れられるわけではありません。この点を問うために、本会は静岡銀行に質問状を送りました。その結果は、以下の通りです。簡単ながら少し情報を加えてご紹介します。

まず、最初に事実関係の確認です。

冒頭でも触れた通り、Amp社に対するシンジゲートローンをアレンジしたのは、新生銀行です。

この新生銀行/信託銀行を除く、七つの地方銀行のうち、最大の融資者が静岡銀行です。

地銀の多くは東北に所在していますが、静岡銀行は遠方にありながらも融資に参画し、かつ最大額を出しています。

随分と積極的です。

メガソーラーの儲け話があれば、遠くからも福島に関心を寄せてくださるようです。

ただ、儲け話さえなければ、静岡銀行が福島に関心を持つことはなかったように思われます。

だって、そもそも支店が、東北には一つもないんですから。

言うまでもなく、本拠地はあくまでも静岡県。

県外支店は、東京、神奈川、山梨、愛知、大阪と主に大都市圏。

福島という土地、そこに住む人間とは縁の遠い銀行です。

ですから、自分たちが融資する先の福島市がどんなところか、

その金で開発される吾妻山麓の先達山がどんな場所か、

その開発を福島の住民がどんな思いで眺めているか、

そんなこは想像もしなければ、まじめに考えることもないだろうと思われます。

ただ、静岡銀行さんが、環境にやさしい企業であることだけは確かです。

静岡銀行さんのホームページをご覧になってください。

毎日のように各種の広報・宣伝資料が満載です。

とくに環境にやさしい、クリーンな企業であることは強調されています。

左は、その一つの例。

環境省が開催する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」というイベントで、「環境・社会・経済に対してインパクトを与える取り組み促進する金融機関」として、見事に3年連続で「金賞」を受賞されたのだそうです。

おめでとうございます!

「地域循環共生圏の構築」に対する「ポジティブなインパクト」を創出されたことが表彰されたんですね。

静岡銀行だけじゃありません。

静岡銀行が属する「しずおかファイナンシャルグループ」全体が、環境に配慮した様々な取り組みを行っています。

そのグループ企業のひとつ「静銀経営コンサルティング」社は、J-クレジットという仕組みを発案しました。

このクレジットを企業に買ってもらうことで、その資金を「地域の持続的な発展をめざし、地産地消のカーボンニュートラル」のために使うのだそうです。

もちろん、静岡銀行さんも購入されています。

いいですね。

静岡県がどんどんクリーンになっていく感じです。

でも、不思議ですよね。

こんなに環境に敏感で、やさしい銀行なのに。

なんで、私たちの福島ではAmp社の乱開発に手を貸すんでしょう。

私たちの目の前には、当初の景観予測とは全く異なるはげ山が出現したんですよ。

土砂流出事故も起きたんですよ。

住民の不満爆発で、市役所が対応に追われる事態になってるんですよ。

こうした現状に対して、御行はどうお考えですか?

これは福島の住民としては聞かずにはおられません。

思いつくままに尋ねてみましょう。

なんで、遠くの福島に融資するようになったのですか?

本当に福島の現状を把握されてますか?

融資先に異変を感じた時、すぐに対応されてますか?

新生銀行と同じく、自行の融資を環境にやさしいものと信じてらっしゃいますか?

先達山の現状を前にしても、この融資が御行ご自慢のESG、SDGにかなうとお考えですか?

とまあ、他にも聞きたいことありますが、とりあえず、この辺で。

ただ、最後にもうひとつ。これだけは聞いておきましょう。

静岡と言えば、やっぱり連想するのは富士山。

仮に静岡市からの富士山の眺望に影響を与えるような開発案件があったら、静岡銀行さんはどうされますか?

法令に則っていればOKですか?

ちなみに、福島市の私たちは、吾妻山を「吾妻小富士」と呼んでます。

本場の富士山には遠く及ばないこと知ってます。だから謙虚に「小富士」って呼んでます。

でも、静岡の皆さんが富士山を大事に思うぐらい、私たち福島の民も「小富士」を大事に思ってます。

毎朝、窓を開け、その姿を確認して、一日を始める。そんな身近な愛すべき山なんですよ。

その「小富士」の景観を見事なまでに破壊したのが、御行がご融資された先達山案件。

本サイトの「はげ山ギャラリー」、「パネル反射ギャラリー」ご覧になりましたか?

さあ、お待ちしていた静岡銀行さんからの回答です。

回答くださった担当は「ストラクチャードファイナンス部」。

こちらは頭取さん宛に送ったんですが、相手にされなかったようです。

実際、回答と言えるような中身はありません。

誰の何に対する「守秘」かを全く具体的に明らかにせず、「守秘義務」を濫用します。

この言葉は、Amp社はじめ先達山に関わる企業が呪文のように安易に唱える言葉。要は責任回避のマジックワード。

どう考えても、私たちの質問状への回答内容がすべて「守秘義務」に関わるとは思えません。

富士山の眺望を損ねる案件に融資しますか?という問いぐらい、声を大にして「いいえ!」というのが静岡人のプライドでは?

ともあれ、静岡銀行さんは、新生銀行を通してAmp社と密にコミュニケーション取っており、Amp社対応を全面的に信頼されているようです。

融資先のAmp社の土砂流出事故、杜撰な景観予測などの問題についても、何ら責任を感じてらっしゃらないご様子。

でも、アレンジャーの新生銀行は、これらの点については、少なくとも問題は認め、Amp社の「監視」責任にまで言及していましたよ。

これと比べると静岡銀行さんにはいささかの動揺もない。さすがに富士山のようにどっしりと構えていらっしゃる。

だけど、静岡銀行さん。ホームページでは本当に多弁です。富嶽の重みは感じません。

先達山について聞かれて、「個別の融資案件に関する過去の経緯、現在の見解や方針などについては詳細な回答」ができないと一蹴しましたよね。

でも、例えば、左の例なんか、どうなんでしょう。

「ポジティブ・インパクト」案件なら、聞かれるまでもなく、詳細に説明してますよ。41ページにも渡って。(原文こちら)。

先達山案件を「グリーンローン」として宣伝していた新生銀行の資料を思い出します。

これは「個別の融資案件」についての説明ではないんでしょうか?「守秘義務」違反のご心配はございませんでしょうか?

本当に銀行っていうのは、どこも同じですね。

論理性と倫理性の歯車がなにか、巷の私たちとは異なっているみたいです。