福島県森林保全課との面談記録(26/1/16)ーー見えてくる県庁の「仕事の流儀」

先達山の開発を許可した福島県知事は、2025年12月11日付で、先達山の開発工事が完全に完了したことを認める通知、いわゆる「完了確認」を出しました。これにより、Amp社の主導の下、AC7社名で行われてきた先達山メガソーラーの開発工事は、行政手続き上、完全に終了したことになります。
また、この工事完了により、県側の担当部署である森林保全課は「工事が終わった以上、もはや自分たちには事業者に対する指導責任もなくなった」というような姿勢を見せ始めました。先達山の開発工事が、当初の計画とは全く異なる景観を出現させ、さらには新たなる公害である「光害」まで生み出し、周辺住民に限らず福島市民全体の暮らしや生活に多大なる迷惑をもたらし続ける中、福島県はこの工事を密かに完了させ、かつ責任を逃れようとしています。
 こうした福島県側の姿勢や対応上の問題については、すでに以下の記事の中で指摘しました。
福島県知事、本会の要望書への回答を拒否、他方で県森林保全課は昨年末に密かに先達山の「工事完了」を事業者に通知
本会の要望書に対する県知事・県庁の対応の経過(2025年9月―2026年1月)
 しかし、今回は、こうした福島県側の行政対応上の問題をさらに具体的に裏付ける資料として、去る2026年1月16日に、本会代表らが県の森林保全課と面談した際の会話録を公開します。この面談は、元々、本会が先に提出していた要望書への県側の回答(県知事宛要望書への森林保全課回答)内容が余りにも乏しく不誠実に感じられたため、県側の真意を確認すべく行われたものです。しかし、そのやり取りの過程で、我々の予想以上に、県側がこの開発許可に対する責任感に乏しく、工事完了を口実として、今後は事業者への指導も行わない方針であることを知りました。
 こうした県側の行政姿勢・方針については、本来であれば、県議会や県議、あるいはメディアによって議論されてしかるべき問題と思います。しかし、実際には、こうした事実はほとんど一般県民には知らされておらず、その結果、県民の中には、知事や県庁が先達山問題について何らかの対応策を講じてくれるのではないかと期待する向きもあります。しかし、以下の面談記録を読み、県庁の「仕事の流儀」を理解すれば、そうした期待がいかに淡く虚しものであるかお分かりになるでしょう。福島県庁の論理は、市民の論理とは全く異なっております。そして、行政担当者の視線は基本的に県民ではなく、県庁内部と事業者にに向いているのです。こうした県庁のありのままの姿を直視したうえで、我々は次なる行動を考えていく必要があります。

まず、この面談記録を読む前の前提として、本会からの県知事宛要望書と回答と、その問題点について、以下のページで改めてご確認ください。

県知事宛要望書への森林保全課回答(25/11/20付)

冒頭でも触れた通り、今回の面談は、上記の回答書の内容があまりにも乏しかったため、本会はこのような杜撰回答がいかなる経緯で生まれてきたのかを確認すべく、県庁側の窓口部署である森林保全課に直接の面談を申し入れたのです。

面談では要望書への回答の各項目について順番に尋ねました。

まずは、先達山の地盤の安定解析(地すべりが起きないかを確認する計算式)に関連する疑問についてです。

県側があっさりと「問題ない」とだけ回答してきたので、その判断根拠を問いました。

その結果、県側も事業者側も自ら疑問点について再調査や計算を行うこともなく、単に環境影響評価書の判断に間違いはないと信じ、それを盾に問題ないと言い張っているに過ぎないことが分かりました。

しかも、県庁内部で誰が責任を持って検討したのか、あやふやな見解。

事業者には「聞き取り」をしたというだけ。

要は、寄せられた疑問点について、自分たちで科学的に検証するつもりがないのです。

しかも、事業者からの聞き取りというのは、実は事業者ではなく、その外注先のコンサルから聞いた話のまた聞きです。

県庁内部で検討はしたといいながら、記録は一切ないという始末。

挙句の果てに、諸方面から聞き取った情報をまとめて確認する会議すら開いていないとの告白。

となれば、保全課の担当者が、適当に周辺から聞いた話を、適当にまとめて、県側の回答書を作ったということなのでしょう。

道理で中身がなく、非常識な回答ばかりであったのも合点がいきます。

組織として検討もしない、記録も残さない。完全に行政官庁として、機能不全。

事業者から聞いたことが、即、「我々県庁」の立場となってしまう不思議。

許認可権を持つ役所なのに、自分で判断する能力と意思が見えません。

自分たちで内部では検討もしないし、記録を残さない。

でも、辛うじて、事業者に問い合わせた際の記録文書はあるそうです。

これは後日、文書開示請求して入手して、読んでみました。

➡ 本会の要望書に対する県知事・県庁の対応の経過(2025年9月―2026年1月)の中で紹介しています。

上をご覧になれば、保全課が本課からの質問事項を、事業者にほぼ丸投げして、回答を作ってもらったことが分かります。

言うまでもなく、大規模な地滑りが起きれば、住民に対する被害は甚大です。

先達山のような、ただでさえ土砂災害の危険性が高い地域に開発工事をするなら、より高い安全性が求められて然るべきです。

しかし、森林保全課は、団地のような住宅開発ならまだしも、メガソーラーはそこまでの安全性は必要ないと言います。

でも、先達山の下には集落があり、住民がいます。地滑りや土砂災害が起きれば、生命・財産が脅かされます。

しかし、保全課は、そうした住民の安全や安心のために「望ましい」安全基準を事業者に求めようとはしません。

話は再び、県庁内部のチェック体制や責任者についてに戻ります。

県庁にも、多少は工事や技術について専門知識のある人がいるようですが、縦割り行政の壁を超えるつもりはありません。

県民の安全や不安解消のために、庁内の有識者に広く意見や助言を求めることもしません。

これが、県庁の「仕事の流儀」です。

いくら聞いても、ちぐはぐな話が繰り返され、結局、誰が責任をもって判断しているのか、わかりません。

結局のところ、保全課の担当者が頼れるのは、「環境影響評価書」という権威ある文書のみのようです。

どこかのお偉いさんが書いたのだろうから、間違いないと信じる素朴さ、いな、悲しいほどの知的怠惰。

目の前に、これを考えてみて、と疑問を突きつけられても、自分で考えようとはしない。

お偉いさんが答えを出したものを、何で俺が改めて考える必要があるの?というのが本音でしょう。

ここには、福島の森林を守りつつ、適切な開発を指導・監督していく役所としての自負や誇りのかけらも見当たりません。

こうした自分で考えず、判断もしない担当者と話しても仕方ありません。

次回は、県庁内の有識者を呼んでもらって、再度、確認と議論の必要がありそうです。

二番目の問題は、緑化工事をめぐる問題です。

県側には緑化が不十分であれば、工事の完了確認を留保できる権限(運用基準)があるのに、なぜ行使しないのかを問いました。

これに対して、この運用基準は、先達山の開発許可後に新たに作られた基準であるため、遡及して適用はできないというのが、保全課の立場です。

つまり、事後的な規制はできないから、AC7社には、緑化の指導はできない、というのです。

この県側の回答は一応、筋が通っています。

しかし、県が本会に寄せた回答書では、事業者に対して緑化が不十分なので再施工するように指導したと書かれているのです。

こうなると、結局、保全課には緑化指導の権限があるのかないのか分かりません。混乱します。

改めて県の言い分を聞くと、旧基準では緑化工事を「実施(施工)」したかは確認する、しかし、「定着」するかまでは確認しない。

これに対して、新基準は、緑化工事を施工した後、それが定着するまで確認し指導する。

これが違いだと言いたいようです。

それならば、やはり旧基準で許可したAC7社には、緑化の定着まで指導する権限は県庁にないはずです。

でもなぜか、AC7社には緑化工事を再施工までさせています。やはり、矛盾しています。

ということは、やはり旧基準で許可した案件であっても、緑化については、安全性にも関わる問題であり、十分な効果が表れるまで、行政側に指導できる裁量権があり、保全課はこれを行使しているように見えます。

しかし、当の保全課は「そうではない」と、裁量の余地を認めようとはしません。

あくまでも旧基準の範囲内でも、緑化が不十分なら指導できると言いたいようですが、よくわからない説明です。

ちなみに、旧基準でも、緑化の不十分を指摘し、定着させるまで指導できるなら、保全課はもっと早くからはげ山部分の緑化を指導ができたと思われます。

この間、ずっと、下のようなはげ山(裸地)の露出が続いてきたのですから。

ともあれ、保全課は先達山の緑化は不十分と認識し、かつ自分たちに緑化の指導権限があると言いながら、なぜか、その定着を見届けるまで指導を続けるとは言いたがりません。

ある程度までは指導するが、最後まで責任は負いたくないと思っているからでしょうか。

そこで、少し話を変えて、いつ緑化指導したのかを聞いてみました。

2025年秋とは、かなり最近です。というか、保全課が工事完了を認める直前です。

緑化工事をしても、定着までは相当な時間がかかりますから、指導直後に工事完了を認めるというのは、最初から保全課が、十分な緑化を工事完了の要件に考えておらず、アリバイ的にやればよいと考えていたことの証に思われます。

本来、工事が完了したとされる以上、追加の緑化工事の必要もなく、もはや保全課にも指導する権限もなくなるはずです。

ところが、保全課は工事の完了確認後も、緑化については事業者から報告を受け続けるというのです。

これは矛盾ではないかと問うと、保全課の答えは簡単明瞭。「今回は特別」!

そんな自由裁量は、業者から見たら「不公平」と言われないんでしょうか?

これに対する県側の回答は興味深いです。
「我々は何も指導していない。業者が自らやりたいと申し出てきたので、お互いに了解したのだ」と。

保全課とAmp社の間に偶然に「阿吽の呼吸」が生じたかのような説明です。

しかし、工事完了直前の2025年秋に、Amp社の緑化が不十分であるとして、再施工を指導したのは保全課です。

そして、その緑化の定着を確認もせぬまま、工事の完了確認を出したのも保全課です。

こうした経緯を考えれば、Amp社が自主的に緑化を申し出てきたので、特別に報告を受けているなどという、保全課の説明を額面通りに受け取ることはできません。

むしろ、保全課には、緑化が不十分のまま完了確認を出した不安があり、今後の緑化の失敗によって、自らの責任が問われることがないよう、表向きには指導権限はないと否定しつつ、裏では何とかAmp社に緑化を指導し続けたいのが本音に見えます。

いずれにしても、保全課が自ら認めた通り、工事を完了させた事業者に対して、今後とも緑化については指導し、報告を受けるという行政対応が「特別」であることは間違いありません。

我々は住民は、まずこれらの事実を把握したうえで、果たしてこの「特別な」対応が、誰のための利益であり、行政として適切な行動であるのかどうかを問う必要があります。

そして、市民・住民の重大な関心事項である先達山の緑化の方針や責任について、事業者も県庁も公に語ることなく、地元メディアも全く報道・追及していないという現実の奇妙さに気づくべき時です。

幸い、今後ともAmp社とのやり取りは保全課が公文書として保管するそうですので、4月以降に情報開示を請求し、緑化の進捗状況を確認したく思います。

最後に、住民対応を放棄しているAmp社への保全課の指導方針を確認しました。

この回答には正直、一番驚きました。

Amp社の緑化については、工事完了後も、曖昧ながらも指導する姿勢を見せた保全課が、住民対応に関しては、一切関与しないと宣言したのです。

この問題については、開発工事の完了確認をもって、Amp社に対する指導する権限が消えたというのです。まさに、都合の良い使い分けにしか聞こえません。

保全課がAmp社と言わばなれ合いの関係であり、Amp社の住民対応上の不始末に対して指導をしないことは、過去の記事でも指摘したことがあります。
[例えば、自称「AC7社」の正体は「Amp社」ーカオナシ企業の住民対応の記事の後半部分をご参照]

しかし、工事完了をもって、一切指導するつもりがないとまで開き直るとは意外でした。

ついさっきまでは、緑化については、引き続き「任意の行政指導」を口にしていたのですから。

さらに、保全課は続けます。

「もう林地開発は終わました。

完成した発電所はうちの所管じゃありません。経産省に聞いてください。

景観とは光害は、全部福島市です。

でも、緑化だけは事業者から報告を受け続けます。

これは矛盾ではありません。」

まさに、天下無双の森林保全課。

何を言っても、はねつけます。

いやはや、こちらも、言葉を失いかけます。

が、やはり、県民・住民として言いたいことは言っておきましょう。

我々は本当に福島県に期待していたんですよ。県民の環境・生活に直結する問題だし、これを所管部署に持っていけば、何がしか解決の糸口が見えるかと思っていました。

でも、最後まで県民と同じ土俵・目線には降りてもらえませんでしたし、今後は門前払いの姿勢。

じゃあ、一体、我々はどこに行けばいいの?

「福島市さんにご相談いただければ、お間違いないんじゃないですか?」ですって。

なるほど、福島県を頼って話しに来た我々が「お間違い」だったということですね。

とにかく、今後、保全課は、緑化を除けば、先達山の開発に関する一切の責任を回避するつもりのようです。

もっとも、振り返れば、多少の反省点もあるようです。

ただ、内容をよく見ると、事業者の住民対応が悪かったなあと、傍観者のような感想・指摘です。

そんな事業者に対して、自分たちが「住民に丁寧に説明させる」指導を疎かにしてきたのではという反省には至りません。

結局、保全課としては制度にのっとって、すべて正しく瑕疵なき行政対応をしてきたということなのでしょう。

問題があるとすれば、それはすべて制度上の問題に由来するのであって、自分たちには何ら問題はない。

でも、制度や決まりがあっても、それをどう解釈し、運用していくかは、行政側の力量や見識が問われる部分ではないですか?

現場担当者として、制度上の問題を少しでも克服するための努力や意地みたいなものを、行政官には期待してはいけないのでしょうか?

本当に残念ですが、最後の最後まで、我らが福島県の行政当局者との話はかみ合わず、信頼関係も築けませんでした。

率直に言って、対話を重ねれば重ねるほど、県庁の内側の論理と感覚には違和感ばかりが募りました。

また、県庁の考える「公益」が、「官益」ないしは、一部の業者の「私益」に資するものに変質しているとの疑いも強まりました。

住民からの注視の視線が届かぬ先で、いつの間にか県庁が県民の意見や権利を擁護し、「公益」を守る仕事を忘れ、事業者の「私益」を優先する組織になり果てている可能性を警戒する必要があります。

実際、こうした危険性が、決して杞憂ではないことは、つい昨日、確認されました。

すでに本サイトで報じた通り、森林保全課は、本会からの要望・質問事項をすべてAmp社に丸投げして回答させています。

自主的な判断なく、完全に事業者の言いなりになっております。これは県から開示された内部文書によって確認されております。詳しくは以下のページをご覧ください。

本会の要望書に対する県知事・県庁の対応の経過(25/9-26/1)

こうした開示文書に基づき、県側の対応の問題点を指摘し、改善を求めようと面談を求めたところ、この度、県庁は正式に面談自体を拒否してきました。

やはり、昨年12月末に工事確認を急ぎ、工事確認をもって自らの責任はないと開き直り、今後、先達山開発を許可した行政責任を一切回避しようとする姿勢が明確となりました。

果たして、県庁のこうした責任回避により、誰が利益を得るでしょうか?県民でしょうか、事業者でしょうか、それとも県知事でしょうか。

本ページ・サイトの情報を総合的に参照すれば、おのずと答えは見えてくるでしょう。