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福島市長が、AC7社の計画に「適合通知」を出した結果、同社は福島県に「林地開発許可申請」を出し、県は森林審議会で審議しました。
「林地開発許可」は森林審議会の保全部会で議論されました。
AC7社の「林地開発許可申請」を審議したのは、令和3年度(2021年)10月13日に開かれた森林審議会の「保全部会」です。
幸いなことに議事録があるため、文書開示請求をすることで、私たちも審議内容を知ることができました。
この議事録の全文はこちら。
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この議事録の前半では、AC7社が事業内容を審議員に説明します。
議員からはいくつかの質問が出されますが、その中に景観に関するものがあります。
特に重要なのが左のやり取り。
AC7社は「丸裸の湖ようなものが見える」ことはない。仮に見える箇所からでも「薄くすっとラインが入る」程度の景観変化だと審議員の前で明言しています。
ともあれ、このような予測が妥当であるかは、専門家である森林審議員が、事業計画を精査し、議論の中で明らかにしたことでしょう。
それでは、その審議内容を見てみましょう。
が、なんと実質的な審議が始まった瞬間から、議事録は黒塗り。
しかも延々と15ページが連続で全部黒塗り。
いわゆる「のり弁」というやつです。
つまり、議事録自体は開示されているものの、審議内容については「非開示」となっています。
福島県知事が示す非開示理由とは、左の二点です。
1点目について、県知事は、一体、どんな情報が明らかになると「当該者の権利」や「正当な利益を害する」可能性が出てくるとお考えなのでしょうか?
むしろ、開示した方が、AC7社が先達山の大規模開発にふさわしい事業者であることがわかり、県民の納得と安心が得られるとは思われないのでしょうか?
2点目についても、見識ある審議会委員の議論内容が開示されることで、県の意志決定の中立性が損なわれるどころか、その正当性が広く県民に認められるのではないでしょうか?
したがいまして、私たちは、このような理由での非開示には、全く納得できません。
当然、左のように、県の森林保全課に対して、審査請求すなわち不服申し立てをしました。
しかし、保全課によれば、こうした審査請求は、現在、審査会に諮問済みの案件が20件、今後諮問予定が2件あるそうです。
審査会は2~3週間に1回のペースでしか開催されず、かつ1回の審査会での審議件数は3~4件だそうです。
さらに審査では、早いものでは8回程度、遅いものでは20回も審査した案件もあるそうで、具体的に審査結果の時期を見通すことはできないとの、驚くべき回答(2025/2/10 森林保全課回答)
要は、いつになるかわからない。
先達山を憂うる市民・住民が最も知りたい情報を、福島県知事がブロックしていると言って過言ではないでしょう。
こうして、審議過程が全く県民・市民の目から隠されたまま、AC7社には「林地開発許可」が与えられました。
その結果、出現したのが、この見事な巨大なはげ山。
一体、どれだけの樹木が伐採され、根っこが抜かれ、土が動かされたのでしょう。
しかも、この大規模な造成工事が行われた先達山の用地は、福島県の「山地災害危険地区マップ」によれば、
「崩壊土砂流出危険地区」に重なり、さらに、その土砂が流出すると予想される下流域には、「山腹崩壊危険地区」が位置しています。 https://f-mori-map.maps.arcgis.com
そして、その危険地区の下には、住民の住む集落が点在しています。
この地域に住む住民から見れば、もっとも林地開発を許可してはいけないと思われるところに許可を出した福島県。
しかし、その許可を与えた審議過程については、一切開示しない福島県。
昨年6月に、すでに土砂流失事故は起きました。
今後、また事故が起きたとき、福島県知事はどのように責任を取られるおつもりでしょうか?