このページでは、福島市水道局が、東電子会社である東京発電株式会社に福島市の受水池施設(飲料水配水施設)に小型発電機を設置させる計画が、どのような経緯で生まれ、実施されようとしているのかについて、本会が知り得た情報を整理してお知らせします。

その知らせは突然でした。
年明けて間もない2026年1月半ば。偶然、目にした回覧板に福島市水道局からの通知を見つけました。
読めば、なんと福島市の受水池施設内に小水力発電所を設置する計画があるというのです。
受水池とは、馴染みのない方にはピンと来ないかもしれませんが、福島市の浄水場で浄化された飲料水を貯蓄し、市民の家庭まで配水する水道施設です。
この中央部受水池からは福島市の全世帯の3分の2に飲料水が供給されています。
この福島市民の生活を支える重な水道施設に、福島市が民間事業者である「東京発電株式会社」と共同で発電所をつくるというのですから、市民として関心を持たないわけには参りません。
それと、「東京発電会社」って会社名も気になりました。一瞬、東京電力からと思ったからです。
でも、あながち外れていませんでした。というのも、調べてみれば、東京発電社は、東電の子会社だからです。
ということは、原発事故を起こし、福島市民の農産物はもちろん、飲料水までも放射能で汚染し、言い尽くせぬ不安や被害を与えた東電の子会社が、いつの間にか福島市と組んで、福島市の水道施設を使って売電事業を計画しているということになります。
これまは全くの寝耳に水で驚きました。
それに加えて驚いたのが、この案内文の文言。住民に対して身分証を持ってこないと要求しているのです。

この身分証持参を求める理由は、回覧の二枚目の東京発電からの案内文に書かれています。
そこには、参加する住民が、事業者が指定した「周辺地域」に居住するかを確認するためとあります。
今回の計画は、福島市民の共有財産ともいうべき水道施設に関わる計画であるにもかかわらず、事業者は、施設周辺の限られた住民以外には、この計画を一切知らせたくないようなのです。
しかし、周辺施設の居住者ではないが、土地や建物を所有している場合には、「登記簿謄本」を持参せよと要求するとは、何とも偉そうというか過大な要求に見えます。
どうやら、福島市の水道局と事業者は、近隣住民に対して、説明会を開いていやる立場のようであり、その説明会に参加したければ、きちんと身分証明なり書類を持って来いと大上段に要求する権利があるようです。
この回覧通知を見ただけで、正直、福島市水道局と東京発電なる会社が、福島市の水道施設を私物化しているように感じました。
でも、福島市の受水池は福島市民のもの。事業者のものでも、水道局の役人のものでもありませんよ。

さて、3枚目を見ると、この事業説明会の場所は、施設近くの町内会の集会所となっています。
大した人数の入れる場所ではありません。
最初から少人数の参加しか想定していないことも分かります。
そもそも、説明会の日程も、平日の夜。多くの住民が集いやすい時間帯ではありません。
さらに説明会の予定時間も、わずか1時間。
できるだけ少ない人数に対して、できるだけ短い時間で説明会を済ませたいという姿勢がにじみ出ています。
そういえば、先達山開発の説明会も同じような形で行われたことを思い出します。
先達山付近の一部の町内会だけに知らされ、コロナ禍もあって、説明会に参加した人数もごくわずか。さらには、住民がもっと人が集まれる時期に説明会を開いてほしいと要望しても事業者は応じず。
にもかかわらず、住民の同意があったかのような内容の書類を県庁に提出。→ 開発行為同意書に代わる資料(AC7提出の地元説明会の記録など)
会社は違えど、再エネ業者の地元住民に対する視線・説明姿勢は、似たよ寄ったりのようです。

かような疑問を抱きつつ、本日(26/2/17)の夕刻に、この説明会に近隣住民として参加してきまし
入り口前では東京発電の社員らしき人が挨拶に出迎え。
集会所の中に入ると受付の方が「身分証を見せてください」とのこと。
非常に不愉快ですが、一応、見せて入ります。町内会の集会所は畳敷きで床座り。座布団が並んでます。
左の資料を受け取って、座布団に着座。
前方には事業者と福島市水道局の担当者が並んで鎮座。
徐々に住民が集まりますが、全部で15人程度。少ないです。

これほど少数なのは、事業者が最初から説明会の対象地域を最大限狭く設定していたためと、会場に着いてから分かりました。。
事業者に寄れば、説明会の対象範囲の住民とは、受水池から半径300メートル内の居住者だけなのです。
この300メートルの根拠は、経産省の資源エネルギー庁が定めたガイドラインによるものです。

参考までに、左は資源エネ庁が定めたガイドラインの原文です。(原文全体は下記のリンク参照)
説明会及び事前周知措置実施ガイドライン – 資源エネルギー庁
現行の規定は、2024年4月に改訂されたものです。この改定の狙いの一つが、地元の理解を得ずに再エネ事業を進めてトラブルになるケースが多いため、事前に地元住民への説明会の実施を事業者に義務付けることでした。
確かにこのガイドラインには、高圧電源の場合は300メートル範囲内の住民を説明会の対象と定めています。
しかし、ガイドラインをよく見れば、市町村は事業者に対して「周辺地域の住民」の範囲を広げるよう意見できるよう定めています。
今回は単なる私有地における再エネ開発ではなく、市民の公共財であり、日常生活の飲み水に関わる計画なのですから、福島市は市民に広く知らしめることは当然期待される行為ですし、実際に事業者に説明範囲を広げるよう求める正当な理由も権利もあったのです。
しかし、市役所は、なるべく狭く直近300メートル内の住民に説明対象を絞るという事業者の姿勢を容認し、何ら意見しなかったと見られます。
さらに、今回の説明会の案内は、町内会の回覧板で回されており、町内会に未加入の住民には一切通知されなかったと見られます。
そのうえ、平日の夜18時の開催な訳ですから、参加人数が15人程度にとどまるのも当然だったのであり、これが事業者と水道局が望む説明会の姿だったと思われます。

それでは、話を戻して、説明会での事業者側の資料の紹介を続けます。
まずは、目次です。

まずは会社の概要です。
100年も続く企業なのは立派です。が、目が行くのはその株主。
東京電力リニューアブルパワー株式会社は、その名の通り、東電が100%株を保有する完全子会社。
次に、トヨタが大株主の豊田通商
そして、この豊田通商が100%の株を保有する子会社が、株式会社ユーラスエナジー です。
福島と東電と悪縁については繰り返し語る必要はないでしょう。
豊田通商には福島人として特段のイメージはありません。
ただ、この子会社のユーラスエナジーという会社は 青森県の八甲田山の豊かな森林を伐採し、150基もの風力発電を計画したことで、地元自治体と住民の猛反発を受けて撤退した経歴を持つ会社です。
ユーラス「地元同意得られず」 青森の風力発電計画撤回『日本経済新聞』23/10/10
したがって、東電は言うまでもなく、これ等の企業を株主に持つ東京発電という会社が、福島の土地や環境を真剣に考える会社とは到底思えないというのが率直な印象です。
思い起こせば、福島市民を苦しめる先達山開発に融資・投資して儲けているのもSBI新生銀行やZエナジー(三菱UFJ,大阪ガス、NTTアノードなど)など県外の大企業です。
➡ 新生銀行論、Zエナジー論、
今回の東京発電もその類と疑われても仕方のない文脈が、この福島の地には存在します。

次に、この施設の場所です。
福島市の中央部受水池は、福島市西部の町庭坂にあります。
上でも触れた通り、この施設は、福島市の全世帯の3分の2に水道水を配水する重要施設です。
一言で言えば、福島市民の水がめです。

この施設内を流れる水道管に発電機を設置してタービンを回して発電しようというのが、今回の「小水力発電所」建設計画です。

ちなみに、上の「流量計室」の外観写真では分かりませんが、この施設の向こう側には美しい吾妻山がよく見えます。
そして、その前には、あの醜い先達山のメガソーラーが、さらにはっきりと見えます。
福島の宝というべき美しい景観が、無責任な再エネ業者によって破壊されたこの場所で、今度は別の再エネ業者が、福島の宝というべきおいしい水道水を使って一儲けを考えているというわけですから、住民としては複雑な感情を射たかざるを得ません。
しかも、よりによってその業者が、福島の民を苦しめ続けてきている東電の子会社さんという訳ですから・・・正直、怒りを覚えます。
福島の宝に対する地元民の誇り、気持ちを、これらの再エネ業者は真剣に考えたことあるのでしょうか?
福島市の水道局は一体どこを見て仕事をしているのでしょうか?

今回の説明会でもっとも不思議に思ったのが、東京発電の担当者が、この図を説明する際に、自分たちの発電機を回す水力のために、福島市民の飲料水が使用されることを明確に説明しなかった点です。
漠然と、浄水場と受水池の落差を利用して発電するとだけ話しましたが、実際には浄水施設から来た水を発電機を通してから、福島市民の家庭へと配水することになります。
端的に言えば、福島市民が飲む前に、その水の流れを使って発電機を回して電力を得るというのが、この小水力発電所の仕組みですが、そのことを詳しく語りませんでした。
この結果、質疑応答では、参加者の多数から飲料水の安全性に対する不安や疑問の声が続出しました。
これに対する事業者と水道局の答えは、あの東電さんお得意の「安全神話」のようなものであり、技術的・科学的な根拠に基づき、なぜ安全と言い切れるのかを丁寧に説明するという姿勢は皆無でした。

こうした科学的、合理的な説明・説得の代わりに事業者が示したのが、「実績」です。
これもほとんどの福島市民が知らないことですが、実は福島市の水道局は、すでに2018年に東京発電に対して、北部配水池という別の水道施設(平野)において小水力発電事業を認め、稼働させていたのです。
これは福島市もHPで広報しておりました。木幡前市長時代のことです。
つまり、東電の子会社さんは、今からもう8年も前から、福島市のお墨付きで水道施設を使った売電事業を営んできたのです。
そして、これを「実績」として、今度は福島市の中央受水池で同じような発電事業を計画するに至ったという訳です。

繰り返すまでもありませんが、この水道施設や土地は東京発電の私的な所有物ではありません。福島市の公共施設です。
したがって、この土地、建物の権原や利用許可は、福島市から得なくてはなりません。
今回、事業者が提示した資料では、土地・施設利用については、現在、市側と「協議中」とされています。

しかし、次に示された工事のスケジュール表を見ると、なんと福島市水道局とは、2023年4月18日に基本契約を締結済と書かれてあります。
つまり、この事業者と福島市水道局は、市民・住民にこの計画について周知し、意見や声を一切聞く機会も持たずに当事者間ですでに事業実施に向けた契約締結を済ませていたのです。
しかも、この契約は「随意契約」であることを、市役所担当者は明らかにしました。
要は市役所は、公募に基づく競争的な入札をせず、東電子会社さんを指名して、この事業をやらせてあげることにしたという訳です。
福島市と基本契約を結んだ後に、住民説明会を開くのでは、住民は単に「出来レース」を見せられたにすぎません。
結局、事業者も水道局も住民に説明し、意見を求めたり、理解を求める気などなかったのです。
これを如実に示したのが、水道局の担当課長の発言です。
本日の質疑応答では、発言した7名中6名が、この事業に対する不安や不満、説明会のやり方への批判を述べ、明確な賛成意見を述べた住民は皆無でした。
にもかかわらず、この担当課長は、住民の反対の声があっても事業を撤回したり、見直す可能性はないと、その場で断言したのです。
これが偽らざる福島市の政治・行政の現場です。行政は完全に事業者と共に歩み、住民を見ておりません。これが福島市の政治・行政の体質なのです。
[他にも資料がありますが、いずれも重要でないのでページ下部にまとめて表示します。]
とにもかくにも、本日の説明会に出ての印象は、この事業は事業者が福島市の水施設を利用して儲けるだけであって、福島市民にほとんどメリットがなく、むしろ水道施設や飲み水をいじられる不安リスクのみ負担させられるということです。事業者は本来、市の公共施設を使って儲ける以上、それ相応の市民への還元や貢献を明確かつ丁寧に説明し、説得を図るべきですが、そのような具体的な中身のある話は皆無でした。それは提示された資料にこの事業の儲けや経済性に関わる事項が完全に省かれている点にも明らかです。こんなぼんやりとした「事業をやります」と言っているだけのような説明会と資料で、住民の納得や同意を得られると考えているとしたら、事業者も市役所も住民をあまりにも軽く見ていると言って過言ではないでしょう。
実際、事業者は所定の1時間になると住民からの質問が尽きないのに、後は質問があったらメールで送って欲しいと言って打ち切る姿勢を見せました。私あまりにも質疑や対話を軽視していると抗議すると少しは時間を延長しましたが、再度、説明会を対象を広げて開催して欲しいとの要望には回答を避け、ご意見を承るとだけこたえて、お茶を濁して会を終わらせました。
改めて、再エネ業者というのは先達山のAmp社に限らず、自らの利益だけを優先し、住民の意見や声などまともに聞くつもりがないこと、また、自らの事業に関する情報を極力秘匿し、住民に知られないように閉鎖的な体質であること、そして福島市の行政当局者はこうした事業者をチェックするどころか、むしろ癒着に近いような蜜月関係をもち、事業をアシストする存在であることを感じざるをえませんでした。
こうした私の捉え方が決して誇張でないことを示すためにも、市民の皆様には、以下の福島市の開示文書に直接目を通し、詳しく読み込んで頂きたく思います。これは、中央部受水池の発電所計画をめぐって、福島市水道局と東京発電の間で行われてきた定期協議のメモと関連資料です。
『ふくしま中央部受水池発電所の建設計画に関する事業者との協議録、その他関係資料』 [ポータルサイトにも掲載コーナー作りました
これを見て頂ければ、今回の説明会で市民・住民には示されなかった情報が何であるかを理解できるはずです。また、福島市が全面黒塗りしてまで市民に示したくない情報が多々あることも一目瞭然です。福島市の再エネ事業とはなぜこうも不透明で「黒・闇」が多いのか。市民だけでなく、メディアにも、この不可解な部分を追って頂きたいものです。
また今後、改めてこの小水力発電所計画の問題ついて続報したいです。また、本日の説明会の議事録も、開示請求して入手次第、公開したいです。










ところが、説明会ではお