矢吹武さんの画集

先達山の景観破壊は、福島の多くの人々に悲しみと痛みをもたらしました。

ここで紹介する矢吹武さんの画集『雪うさぎの涙」には、そうした福島人の悲しみと嘆きが、多少のユーモアと反発心ともに見事に表現されています。

矢吹さんは、「吾妻の景観と自然環境を守る会」の会長として、いち早く行動し、先達山の工事中止を求める約4000名の署名を集めて、県当局に提出したことで知られます。他方で、矢吹さんは芸術家でもあり、福島人の心情を込めた絵画を多数お書きになっており、それをまとめたのが今回紹介する画集です。

この画集については、福島県三春町在住の芥川賞作家・玄侑宗久さんも、『福島民報』「日曜論壇」で紹介しています。(リンクは、こちら

画集の著作権は矢吹武さんにありますが、ご本人の承諾を得たうえで、松谷のコメントを添えて、本サイトで紹介させていただきます。

本当に美しいところでした。

わずか14年前のことなのに。

原発事故の痛みから、私たちは何を学んだのか?

後で気づいた時には、もう遅い。

変わり果てた故郷の風景に驚くのは、むしろ帰省客

観光客もがっかりです。

これからは歌詞を変えるしかないですね。

うーさーぎ 追い出し あの山

こーぶーな こーろし あの泥

目の前の風景が無残に壊されていく。

これは確かに戦争のようだ。

でも、ウクライナ政府は、少なくとも迎撃ぐらいはする。

福島市・福島県は・・・

「ノーモア何とか宣言」ぐらいは、言ったっけ。

その効果は、砲弾というより、放談ていどで終わっています。

かつてはそうだったのですが・・・

福島市民でない方に、ひとつ解説。

毎年雪解けのころになると、吾妻山の斜面の残雪が

ちょうどうさぎのような形にみえるのです。

これを地元では「雪うさぎ」と呼んでおります。

これにちなんで、福島市のマスコットキャラもうさぎをモチーフにしてます。

浄土平に上って、下を見下ろしてください。

広々として福島盆地が広がるのですが、なんとそのt前の山裾には、巨大なメガソーラーが。

雄大な景色が・・・ 幻滅です。

浄土平だけではありません。いたるところで風景が壊されています。

なにせ福島市には現在26か所もメガソーラー(建設中も含めて)もあるんですから。

福島市内の幼稚園、小学校、中学校、高等学校の校歌。

これから集めてお見せましょう。

吾妻の風景がどれだけ、歌われていることか。

幸いにも荒川には、先達山からの泥水が流れ込むことはないと思います。

ただ、荒川の上流の山々には、メガソーラーが影響していないか、注視する必要あります。

先達山下流の天戸川、須川なども、水質はどうなったか?

皆さんも注視しに行ってみてください。

福島市の体たらくぶりをごらんなさい。

駅前の空洞化、廃墟。

先達山の乱開発。

これを支える地元銀行。

文化水準うんぬんする資格すらなさそうな惨状。

こんな悲しい四季はない。

この問いに堂々と答えられる人はいるのか?

福島の恥。

そうなんです。新名所、先達山太陽光発電所。

福島県の「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」に資する大事な場所なんですよ。

福島県、事業者、銀行・投資家たちが三位一体となって作った新名所。

偶然ですが、今年(2024年度)で、同駅伝は終了となりました

ランナーにとっては悲しいことですが、

あんな風景を見ながら走るぐらいなら、いっそ、終了でよかったかも。

美女が見る湯けむりの向こうに、あのハゲ山じゃ。

むしろ、男湯に見えるハゲ頭の方が、まだマシかも。

変わらぬものが良いのに。

なぜ変えるんでしょうね。

芸術作品だけではありません。

住民が作った「展望ベンチ」からの景観も壊されました。

本サイト「はげ山ギャラリー」もご覧あれ。

これは悲しすぎる風景です。

が、容易に想像できます。

Uターンしてきた若者もそう思うはずです。

この気持ちに、心から共感する地元民は多いでしょうな。

特に町庭坂、笹木野、野田あたりは。

福島でタワマン作っている業者もかわいそうだなあ。

西向きの窓は、幻滅の窓。

天狗様の庭を壊すとは

不届き千万。

でも、逃げるぐらいなら、

天狗の団扇で、何とかしてください。

フクロウ先生のおっしゃる通りと思います。

かつて、ドイツのヘーゲルという哲学者は、こう言ったそうな。

「ミネルヴァのフクロウは、

迫り来る黄昏と共にようやく飛び始める」

これには深い哲学的意味があるんでしょうが、私たちにはよくわりません。

「迫りくる黄昏」とは、この不幸な時代のことでしょうか。

この街に見切りをつけて、飛び去って行くという意味かしら。

戸惑うのは観光客、帰省客だけでない。

ご先祖様も。

地元に根を張らない人間には、わからないだろうな。

この気持ち。

だから、今生きている大人世代の責任は大きい。

どんなバトンを託すのか?

そして、かんがえよう。

私たちが次世代に残すべきものは?

いやいや、着物の裾を汚す以上のみっともなさでしょう。

高村智恵子は、こう言っていたそうです。

智恵子は東京に空が無いといふ、

ほんとの空が見たいといふ。

私は驚いて空を見る。

桜若葉の間に在るのは、

切つても切れないむかしなじみのきれいな空だ。

「東北のウォール街」は今は過去。

現在の「ウォール街」に鎮座するのは東邦銀行本店。

本店の窓からは、先達山見ているでしょうか?

東北のウォール街が失ったのは、素晴らしい建物だけではないようです。

美しき、風情のある街に対する愛情と責任感も・・・

業種の違いもあるのではないでしょうか。

地元から遊離したまま、短期的利益を求める金融業。

地元からの信頼なくして、長期的な事業はできない住宅メーカー。

しかし、市民の声は消えることはない。

そして、私たちの「注視」は続く。

期待した私たちが、間違ってたんでしょうね。

人も、獣も、鳥も。

雪うさぎもモモリンも去っていく。

え、雪うさぎを知らないって?

春先の吾妻山を見上げてごらんなさい。

かつては景観のおかげで、むしろ味わいが増していたのですが。

あるいは、こんな質問もしたくなるでしょう。

古関裕而先生の作った歌に、こんな歌詞もあったような。

あーあ、せーんだーつに パネル かがーやーくー・・・

今度から、校舎の窓に目隠しでもしてから、校歌を歌わせましょうか。

こうした素朴な信仰心が消えつつあるように見えるんですよ。

口では「伝統を守る」とか、「郷土愛」とか言ってる人々の間に。

福島で「保守」を名乗る人は、こういう伝統的信仰心は保守しないんですかねえ。

見慣れた山並みの風景を壊すのは、

福島が築いてきた芸術・文化への殺戮行為と変わりません。

さすが、盛岡市民は岩手山の眺望を妨げる太陽光は認めないと思いますよ。

こんなの認めるのは福島市民ぐらい。

ただ、盛岡の東北銀行が、先達山案件に融資しているのは、どういうことなんでしょうね。

自分の山は守るが、他県の山は壊すのでは、困ります。

もっとも、自分の山を壊して恥じない地元銀行さんよりは,ましかも知れませんが。

まったくの同感です。自ら壊しておいて、恥も外聞もない。

「うつくしま、ふくしま」とか、聞いて呆れますよ。

これまた、おっしゃる通り。

こんな事後的パフォーマンスに惑わされてはいけません。

福島市がやるべきは、なぜ、自分たちが先達山案件を許可し、「適合通知」を出したのかの再検証。

そして、現在の事業者に対する徹底した調査と指導。

そんな本気度は見えますか?

そうです。私たちは、だから、救急車を呼んでいるのです。

だけど、救急車は出してくれる役所は、福島にはございません。

一体、どこに頼めば良いの?

住民が自分で救急車を作るしかないの?

リンゴのハネものは、それでも食えるし、うまい。

そして、自然の恵みを大事にし、皆を喜ばす。

山のハネものは、食えない。みったぐねえ。

そして、一部の者の懐だけを潤す。

アバタなら、まだかわいいですよ。

先達山は、えぐられた肉に、パネルが張られたケロイドです。

古関裕而先生には、返す返すも面目ないです。

「みどりの丘の黒いパネル」なんて歌に、作曲はお願いできませんよね。

今から何年かけても、「青い山脈」を取り戻したいですね。

福島人の意地とプライドが問われています。

いいえ、福島は地震じゃないんですよ。

事業者の「自信」満々の計画と、行政の「自信」満々の許可によって、開発されたんですよ。

福島の再エネ普及だとか、カーボンニュートラルだとか、

山は崩れたのではない。

崩されたのです。

福島市民でない方に、またちょっと解説。

「雪うさぎ」が現れる季節は春先。雪解けのころ。

麓の田畑では、種まきの季節。

それで「雪うさぎ」の別名は、「たねまきうさぎ」なんです。

でも、こんな風情ある風景を壊すのがパネルなんですよ。

信じた私が、バカだったということでしょう。

福島の林業者もかわいそうですよ。

植林やってる横で、あの乱開発。

夏の青々とした山並みが消えただけではない。

紅葉の色鮮やかな山並みも、あのブラックホールで台無し。

パネル社なんて、匿名の必要はありません。

AC7、Amp、新生銀行、東邦銀行、七十七銀行・・・

NTTアノードエナジー、大阪ガス、三菱UFJ銀行・・・

本サイトの融資企業と出資企業をご覧あれ。

福島市長を先頭に、福島市民が立ち上がる時はいつ?

ノーモア宣言もそうですが、口だけで、行動が伴わない。

これは、全くの現実です。

先達山のふもとに行ってごらんなさい。

雨の後なんかとくに、濁った水が流れてますよ。

工事が始まる前の水質を知っている地元の方に尋ねてみてください。

事業者や行政は、こうした下流域の水質を細かくチェックして、定期的に住民・市民に広く公開しているでしょうか?

もはや心配だというレベルではありません。

2024年6月のさほど大したことない雨でも土砂流出が起きたのですよ。

しかも、あの山と沢のある地域は、そもそも土砂災害の警戒区域なんです。

麓の町内会からも、当初から不安の声が出されていました。

今後、予測以上の豪雨が来た際のことは、想像したくもありません。

魔女の一撃が、パネルに下る日もくるでしょう。

信夫山頂の烏が崎からの眺望も無残ですよ。

しかし、諸行無常だけでなく、

奢れるもの久しからず、も信じましょう。

猛き者もつひには 滅びぬ

ひとへに 風の前の塵に同じ

先達山だけではないんです。

吾妻連峰があちこちで虫食い状態になっています。

人生いたるところ青山あり。

福島いたるところパネルあり。

皆さん、山に向かって怒るのではありません。

山を壊している事業者、認めている行政に対して怒るべきです。

言い得て妙で、付け加える言葉もありません。

芭蕉さんも、今来たら、なんと詠むんでしょうね。

早苗とる 水面に 映ゆる メガソーラー

歴代の歌人が詠んできた山。

吾妻のさ霧晴れて、見えるはげ山。

繰り返しますが、先達山の破壊は、福島に対する文化的殺戮に他なりません。

鳥と花だけでなありません。

福島のこどもたちにも、そうであって欲しいですね。

金にけがされないでくれ。

人にけがされないでくれ。

本当に申し訳ないです。

もうちょっと待ってて。