これは林地開発許可を得た事業者の現場を管理・監督する福島県の県北農林事務所が作成した「AC7林地開発に係る現地確認結果」という文書です。令和6年5月1日から、令和6年12月23日までの21回分があります。
いずれ専門の方に見ていただくつもりですが、素人目に見ても、非常に簡単な内容であり、事業者に連れられて見て回った事実を報告しただけという印象です。何か問題意識を持って調査・確認するという性格の文書には思えません。果たして、このような確認だけで本当に良いのでしょうか。
ひとつ注目すべきは、この中にひとつだけ別種の文書である、令和6年6月4日付の「復命書」が含まれています(以下の最初のPDFのP.3)。ここには、現地確認の結果、2日前の6月2日に生じた土砂流出事故について、「事業区域外に3号調節池を経ず雨水を直接流下させてしまったことと、仮設水路や応急的な排水対策を実施したことは、申請事業計画に従って施工しておらず、許可条件違反に当たると判断される」と明確な報告があげられています。
こうした明確な違反が明らかとなったため、県北農林事務所は工事中止を指示しました(6月4日)。ところが、県当局(本庁の農林水産部)は翌日(5日)には工事を再開させています(この問題は早くから朝日新聞やTUFが報じています。本サイトのメディア欄ご参照)。その際、県担当者は「計画された排水設備を事業者が作っていなかったという話ではない。想定外の雨が降ったから、流出が起きた。仮に工事の中止指示を出したところで、事業者は対策済みなので、出す意味がないと説明」したと報じられています(朝日24/6/6)。現場で違反を確認してきた担当者の報告を、本庁の役人が事業者をかばうかのように「工事の中止指示は・・・意味がない」と中止指示を撤回させとは驚きです。この判断の妥当性については、今後とも注視・調査の要がありそうです。
AC7-林地開発に係る現地確認結果 2024年5月ー7月AC7-林地開発に係る現地確認結果 2024年8月ー12月