村山国子市議も市議会で先達山について集中質問。周辺住民の安全性に関わる問題を提起。今後、もう一歩踏み込んだ議論を期待。

現在開会中の福島市議会9月定例会において、村山国子市議(共産党)が、先達山太陽光発電所の問題について市側に質問を行いました。

質疑の模様は、以下の動画でご覧いただけます。村山市議の先達山に関する質問は、上記の動画の35:03~から始まります。
   → 令和8年9月定例会議 9月9日(水曜日)一般質疑 村山国子
先に、自民系会派「真結の会」の宍戸一照市議が、先達山問題について集中的に質問したことを当サイトでもお伝えしました。今回、これに続いて共産党の議員からも先達山問題についてまとまった質問が行われたことは、この問題が特定の政治的立場だけの問題ではなく、福島市民全体に関わる問題として認識されつつあることを示すものと受け止めています。先達山を憂慮する市民として、こうした動きは歓迎したいと思います。
    → 参考:[宍戸一照市議、先達山の景観破壊、光害について議会で追及
一方で、今回の質疑を実際に視聴した私たちとしては、「せっかく重要な問題を取り上げているのだから、もう一歩踏み込んだ議論をしていただきたかった」という思いも残りました。以下、今回の質疑で取り上げられた事項と、それを通して感じた課題について、市民の立場から整理してみたいと思います。
1.盛土の安定性について(35:05~)
==質疑ここから==
Q1(村山市議): 東日本大震災時、蓬莱団地で法面が崩落し断水した。盛土の怖さを知った。盛土内に地下水がたまったことが法面崩落の原因。地下水が盛土に与える影響について市側の見解は?
A1(農政部長):適切に施工された盛土は地震や雨に一定の耐久性あるが、盛土内に水がたまると外への圧力強まり崩れやすくなる。また大地震の際には地すべりを誘発させる恐れがある。
Q2: 先達山の盛土は、現在の厳しい盛土規制法[が、遡及的に適用されたとすれば]の規制対象となり、盛土の安定解析の断面の最深部を避けていると、土砂災害の危険性が高まる。この安全性についての市の見解は?
A2: 事業者が行った盛土の安定解析は最も崩れやすい「すべり面」を選び出して行っている。よって安定解析の目的を果たしている。これは県が林地開発の許可制度に基づくものとしてなされ、県が安全性を確認したもの。市としては市民の安全確保のために状況に応じて、適宜、事業者に適切な施設の維持管理を指導していく。
==ここまで=
村山市議は、東日本大震災の際に蓬莱団地で発生した法面崩落を例に挙げ、盛土内部に地下水がたまることによる法面崩落の危険性について質問しました。
これに対し、農政部長は、適切に施工された盛土は地震や雨に一定の耐久性がある一方、盛土内に水がたまると外向きの圧力が強まり崩れやすくなること、また大地震によって地すべりを誘発する可能性があることを答弁しました。
ここまでは、重要な確認だったと思います。
しかし、その後のやり取りには、もう少し確認していただきたかった点があります。
村山市議は、先達山の盛土について「安定解析の断面の最深部を避けていると、土砂災害の危険性が高まるのではないか」と質問しました。
これに対し、市側は、「事業者が行った盛土の安定解析は、最も崩れやすい『すべり面』を選び出して行っている」
と説明し、さらに「県が安全性を確認した」と答弁しました。
しかし、私たちがこれまで専門家から受けてきた指摘は、必ずしも「最深部を避けた断面だから危険」という単純なものではありません。
問題として指摘されているのは、巨大な谷埋め盛土について、安定解析の対象とされた断面が、本当に盛土全体の安全性を適切に評価できる位置・形状となっているのかという点です。
特に、専門家からは、盛土の最深部を含む地形や、盛土が動く可能性のある方向を十分に考慮した解析になっているのかについて、確認すべきとの指摘を受けています。

→ 参考:先達山開発における「地質学・工事上の問題②」

私たちは、この点について福島県にも質問を行ってきました。

→ 参考:福島県知事宛要望書(2025年9月2日)

→ 参考:県知事宛要望書への森林保全課回答(2025年11月20日)

したがって、市側から「県が安全性を確認している」と答弁があったのであれば、そこからさらに、
「具体的に、どの資料・どの解析結果によって安全性を確認したのか」
「専門家から指摘されている解析断面の問題について、県はどのように説明しているのか」
「市として、その説明を科学的・技術的に妥当だと判断しているのか」
といったところまで確認していただければ、市民にとって非常に意味のある質疑になったのではないでしょうか。
今回の答弁を聞いて、そこで議論が終わってしまったことは、少し残念に感じました。

2.排水設備について(37:28~)

==質疑ここから==
Q3:熊本地震を起こした日奈久断層帯の地震発生確率は6%程度。(先達山のある)福島盆地西縁断層についても専門家の後藤教授(広島大)が今後30年の大地震発生率を0.5~5%と指摘しており、無視できない数値となっている。また近年の線状降水帯による豪雨の発生もある。先達山は地震や大雨によって盛土内の地下水がたまり崩落しかねないが、暗渠排水管以外の排水設備はどうなっているか?
A3:暗渠以外に、地面に振った雨水をためる四つの調整池があり、そこに排水する側溝や集水桝が設置されている。暗渠は盛土内に溜まった地下水を効率よく排水するために「面的に設置している状況」。市として排水設備の状況を確認し、地震や大雨による災害防止のため適切な施設の維持管理を事業者に指導していく。
==ここまで==
排水についても、村山市議が取り上げたこと自体は重要です。
先達山の盛土は非常に大規模であり、盛土内部に水がたまることが安定性に影響するのであれば、「盛土内部の水を本当に十分に排出できる構造になっているのか」は、市民にとって重要な確認事項です。
今回、市側からは、盛土内部の暗渠排水設備に加え、側溝、集水桝、4つの調整池などが設置されているとの説明がありました。
しかし、ここでも、もう一歩踏み込んだ確認が必要だったのではないでしょうか。
私たちが専門家から受けている指摘の一つは、40メートル以上にも及ぶ大規模な盛土について、最深部に設置された暗渠排水設備によって、盛土内部の地下水を十分に排出できるのかという点です。
さらに、これまで示されている安定解析において、盛土内部の水位がどのような条件で設定されているのかについても、確認する必要があります。
仮に、盛土内部の水位が極めて低い、あるいは水が存在しないという条件を前提として安全性を計算しているのであれば、実際に雨が降った場合の地下水位の上昇をどのように評価しているのかを確認することが重要です。
したがって、市側が「暗渠のほか、側溝や調整池がある」と答弁した際には、

  • 暗渠排水はどのような間隔・配置で設置されているのか
  • 設計上、どの程度の降雨を想定しているのか
  • 盛土内部の地下水位を実際に観測しているのか
  • 大雨の際に暗渠排水が十分機能していることを、どのように確認しているのか
  • 安定解析における地下水位の設定は、実際の現場条件と整合しているのか

といった点まで質問していただければ、さらに具体的な議論になったのではないかと思います。
市側の説明を聞くだけで終わらず、「その説明を裏付けるデータはあるのか」というところまで確認することが、市民の安全を考える上では大切なのではないでしょうか。

3.大雨と金堀沢の濁水について(39:09~)
==質疑ここから==
Q4:最近、全国各地で大雨が相次いだ。[市が設置した監視カメラによる金堀沢(先達山から流れ出る)の濁水の画像を示しながら]これは一昨日の映像。雨量は0時から15時までの総雨量84mm。左側の写真は8時10分のものだが、0時から8時までの降雨量は22㎜。それだけでこれだけの濁水。・・・令和元年の東日本台風時(10月12日)、福島市観測所[気象台]が観測した0~12時の総雨量は松木町[市内]で233.5mm、鷲倉[先達山の奥山]は373mmだった。一昨日の松木町(26/9/7に観測された84mm)の雨量の約2.8倍、鷲倉では4.4倍の雨が降っていたことになる。この台風と同じ量の雨が降ったら、地下に吸収できない大量の雨水が金堀沢に流れ込むことは必至であり災害を危惧する。
 [2枚目の写真を示しながら]これは8月8日の金堀沢です。(両方ともさほど多くない雨が降って間もないのに)相当の泥水となっている。雨水が地下にしみこまず表面の土を削って泥水となり、時間と共に泥水の濃度が高まっている。
 [3枚目の写真]これが平常時の画像。平常時でも濁っている。気象庁データによれば、この日(8月8日)の福島市の雨量は[18時時点で]計33mm。この時すでに金堀沢の監視カメラ映像では濁流となっている。また平常時も濁流である。市の見解は?
A4: 金堀沢の監視カメラ映像でも16時、18時には濁水が確認された。しかし翌日には徐々に濁りは収まった。平常時は議員は濁っているというが、我々は濁りはないことを確認している。降雨時には引き続き監視体制を維持する。
Q4:少量の雨量でも増水するのは災害リスクがあるので、よろしくお願いしたい。[対策に関する準備質問を忘れ、議長に促されて]対策について伺います?[と聞きなおす]。
A4:さきほどと重複するが、今後とも監視カメラで現地の状況を適切に把握し、急激な増水や溢水リスクを早期に検知し、必要に応じて事業者に適切な対応を求めるなどして、現場の安全確保に努める。
==ここまで==

今回の質疑では、金堀沢の監視カメラ映像を示しながら、降雨時の濁水についても取り上げられました。
実際の映像を示し、降雨量のデータと合わせて問題提起したことには意味があります。一方で、ここでも「濁っている」という事実の確認から、さらに「では、それが災害リスクとしてどの程度なのか」というところまで議論を進めていただきたかったと思います。

例えば、先達山周辺について、

  • 過去の最大級降雨を想定した場合、調整池はどの程度の雨量まで対応できるのか
  • 調整池の容量と想定流入量はどのように設定されているのか
  • 近年増加している局地的豪雨や線状降水帯による大雨を、現在の施設はどのように考慮しているのか
  • 金堀沢の濁水が、単なる一時的な濁りなのか、それとも土砂流出量の増加を示すものなのか
  • 降雨量、濁水、流量等を継続的に観測する体制が必要ではないか

といった点を確認することができたのではないでしょうか。
特に、先達山周辺の降雨状況を正確に把握するため、現地に雨量計を設置し、そのデータを市民にも公開することを提案することは、今後の検討課題として意味があるように思います。
また、今回の質疑では、対策についての質問が議長から促された後に行われる場面もありました。
もちろん、議会での質問には限られた時間や進行上の制約があります。
ただ、今回取り上げられたテーマが住民の生活安全・生命維持に関わる重要な問題であるだけに、「問題を指摘するだけでなく、具体的に何を確認し、何を求めるのか」まで明確にすることが、今後ますます重要になると感じました。

4.私たちが市議会に期待すること
ここまで述べてきたことは、村山市議の今回の質問を否定することが目的ではありません。むしろ逆です。
先達山問題について、これだけまとまった時間を使って市議会で取り上げていただいたことは、私たちとしてもありがたいことだと考えています。
また、盛土、排水、濁水、災害リスクという重要なテーマを取り上げたことには、大きな意味があります。
だからこそ、「もう一歩踏み込んでいただきたかった」「市民の生活と安全のため、熱意と魂のこもった質疑を見たかった」というのが、私たちの率直な思いです。
先達山問題について市民が知りたいのは、「市は大丈夫と言っているのか」という抽象的な答えだけではありません。

むしろ、

「何を根拠に大丈夫と言っているのか」

「その根拠となるデータは公開されているのか」

「専門家から異なる指摘が出ている場合、市はそれをどう検証したのか」

「万一の場合、市はどのように市民の安全を守るのか」

という具体的な説明ではないでしょうか。
議員の皆さんには、ぜひこうした視点から、今後の質疑を深めていただきたいと思います。

5.「オール福島」で議論するために
先達山問題は、特定の政党や会派だけが取り組むべき問題ではありません。
今回、自民系会派の議員に続いて共産党の議員からも先達山問題について質問が行われたことは、政治的な立場を超えて、この問題を議論する土台が広がっているとも受け止められます。
私たちは、こうした流れがさらに広がり、「オール福島」で先達山問題を考える議論につながることを期待しています。そのためには、議員の皆さんにも、党派や会派の違いを超えて、

「誰が質問したか」ではなく、「何が問題なのか」

「誰が説明したか」ではなく、「その説明にはどのような根拠があるのか」

という視点から議論していただきたいと思います。
先達山の問題について、私たちは決して「反対のための反対」をしたいわけではありません。
市民が納得できるだけの十分な情報と科学的な説明が示され、将来にわたって安全が確保されること。
そして、福島市民が大切にしてきた自然環境や景観が、どのように守られていくのか。
そのことを、市議会と行政に問い続けていきたいと考えています。
今回の質疑を一つの契機として、今後、福島市議会において先達山問題について、より具体的で、より深い議論が行われることを期待します。
そして、村山市議をはじめ、先達山問題に取り組むすべての議員の皆さんに、今後も継続してこの問題を取り上げていただくことを願っています。
また、質問に際しては、予め地元の市民団体や有識者と意見を交換し、より正確な知識と情報を得たうえで、「市政をただす」意気込みで質問して頂きたいです。