昨日(25/12/9)の「朝日新聞」デジタル版に非常に興味深い記事が掲載されました。
Zエナジーを通じて、先達山太陽光事業に出資している大阪ガスの社長・藤原正隆氏のインタビュー記事です。この中で、藤原氏は、先達山への投資の妥当性について問われ、その弁明に務めております。
その弁明の中身については以下で検討しますが、本会にとってこのインタビュー記事は驚きでした。というのも、実は本会は、この朝日新聞のインタビューに先立って大阪ガス/藤原氏に対して、先達山開発への投資について公開質問状を送っていたにもかかわらず、同社によって回答を拒否されていたからです。そして、同社に代わって、回答してきたのは大阪ガスが三菱UFJ銀行やNTTアノードと立ちあげた再エネ会社のZエナジー。つまり、大阪ガスは回答責任をZエナジーに回答を丸投げしていたのです。
このように、現地住民からの質問状を無視する一方、メディアには雄弁に語るという大阪ガスの社長。どうやら、大阪ガスは二つの顔をお持ちの企業のようです。Amp社/AC7が「カオナシ」だとすれば、大阪ガスは「カオフタツ」とでも呼ぶべきでしょうか?
ともあれ、以下に藤原氏のインタビュー内容と合わせて、本会からの質問状、そして大阪ガスに代わってZエナジーから寄せられてきた回答などの資料を合わせて紹介します。「カオナシ」も「カオフタツ」も、住民に向き合わないという点では似た者同士とわかるはずです。

まず、朝日新聞の記事はこちら。
(デジタル版へのリンク)
福島市の先達山を背景に、社長の藤原氏の写真入りです。
この環境破壊型メガソーラーに、大阪ガスが投資しているのをはっきりと示す構図は素晴らしいです。
先達山に限らず、大阪ガスはそもそも、500万キロワット分の再エネ施設への投資を目標にして、投資を続けてきた企業です。

その理由は、なかなか興味深いです。
自分たちが「天然ガス」という化石燃料を売り、Co2を排出しているので、その分の埋め合わせとして、Co2を出さない再エネの普及を果たそうというのです。
つまり、ガス会社として、ある種「罪滅ぼし」的に再エネ普及しているという論理です。そう聞けば、なんとなくご立派な感じはします。
それでは、そのガス会社の「罪滅ぼし」のために福島に被害や負担を押し付けることについては、どうお考えでしょうか?
藤原氏が強調するのは、AC7社の開発の適法性。「手続きについては問題はない」という立場です。
ついては、大阪ガスにも問題ない、と言う単純な論理です。
しかし、手続きには問題ないと言いながら、「そういうご意見=(福島の反発)があるのであれば、真摯に対応すべき」とも言います。
一見、謙虚な発言にも聞こえますが、なぜ手続きに問題がない事業が、福島の住民の反発を招いたのかを出資企業として、真剣に受け止め、自ら問題を究明しようとする姿勢はありません。
そもそも「ご意見があるのであれば・・・」と福島の住民の怒りをうわさ話程度にしか聞いていないような物言いに、藤原氏の認識不足が現れています。

実際、藤原氏の現状への認識不足は、自分たちは「住民との対話をすすめたところ[案件]しか取り組んでいない」という発言にも表れています。
どうやら、藤原氏は事業者のAmp社が福島でどのような住民対応・対話を進めてきたのか、全く知らないようです。
また、そもそも、林地開発の許可要件には、住民の合意が含まれていないがために、Amp社のような企業が「認可」を盾に、住民無視の工事や対応をして憚らない結果を招いていることもご存じないようです。
ですから、いまだに事業者であるAmp社に「最善を尽くすことに期待」なんて能天気なことを言えちゃいます。
藤原氏は、福島の反応には「ちょっと驚き」を覚えたそうですが、我々はむしろ、大阪ガスの社長さんたるものが、この程度の認識でいることに「かなり驚き」でしたよ。
というのも、我々は早くから大阪ガスが出資して作った再エネ投資会社のZエナジー社に対して、Amp社の強引な工事や住民軽視の対応について訴え、改善・指導を求めてきました。
[本サイトの以下のページをご覧ください。
・Zエナジー論 (25/3/7付回答含む)
・Zエナジーへの質問状回答(25/6/27)
これが事実であれば、大阪ガスがZエナジーを通じて出資した先達山案件が福島で大問題を引き起こしてていることを知らないわけがないのです。
それにもかかわらず、大阪ガスもZエナジーも今日までAmp社の行動を何ら改善させることなく、住民の懸念や不安を放置したまま売電開始を強行し、収益をあげ始めたのです。

我々が、大阪ガスの対応、とりわけ社長の藤原氏のインタビューに不信感をつよめたのは、他にも理由があります。
それは冒頭で述べたように、実は大阪ガスは本会からの質問状を受け取ったにもかかわらず、回答を拒否したという事実があるからです。
左は、本会が25/11/3付で藤原氏宛に送った公開質問状のカバーレターです。
一読していただければお分かりの通り、本会は単なるクレーマーや思い付きで質問状を送っているのではありません。
これまで、Zエナジーを通じて、出資先であるAmp社の事業運営や住民対応を改善させるべく働きかけてきたものの、全くZエナジーが有効な対応を取らないために、その親会社である大阪ガスに対しても、その見解を直接に問わざるを得ない状況となったのです。
しかし、今日(25/12/9)まで、大阪ガス・藤原氏からは、 この質問状を受領したとの通知さえなく、何ら回答も反応も寄せられておりません。
つまり、完全無視です。

ちなみに、質問状の中身がはこちらです。
本当に社長さんは、この自分宛ての質問状に目を通していなかったのでしょうか?
通していたら、福島での強力な反発について「ご意見があるのであれば・・・」なんて、他人事は言えたはずがないのですが。
まさか、社長さんの周りの方が、気を利かして、質問状を見せなかったとか、捨てたとか・・・あまり、想像したくないですけど。
ちなみに、この質問状は特定記録郵便で送りましたし、以下で触れますが、後日、Zエナジー社から届いた書簡において大阪ガスが受領したことが確認されています。
つまり、大阪ガスは、この質問状を受領しながら、回答拒否を選んだのです。つまり、意図的な無視です。
仮に答えたくない、答えられないということであれば、その旨を返事して下されば良いはず。
福島の住民ごときからの問合せには返事は不要というのが大阪ガスの流儀でしょうか?
しかし、その一方で、藤原氏は朝日新聞に対しては、きちんとインタビューに応じています。
そうなると、やっぱり、我々のような福島の一般ピープルだから、相手にされなかったってことになりますね。
どうやら我々が、社長さんに直接、質問状送っちゃったのは分不相応だったようです。
でも、我々、本当に知らなかったんです。
相手によって、顔を使い分けるのが、御社のビジネスの流儀だと。
「カオナシ」のAmp社/AC7社に対して、大阪ガスは「カオフタツ」だと。

それじゃ、我々、分不相応のものが、大阪ガスに声を届けるためにはどうしたら良いんでしょうか?
我々の周りに、あんまり偉い方いらっしゃらないんです。
頼りになる政治家もあんまりいないんです。故郷の山一つ守るにも、立ち上がってくれる政治家もいない、悲しい土地なんです。
頼みの綱は、新市長の馬場さんですかね。
我らが若きリーダーに思い切ってお願いしてみましょうか。
「馬場さん、俺らみだいなのがいぐら言ったって、大阪ガスは聞がねぇがら、俺らの代わりさ、ちっと言ってやってくんにがい。おめぇ、なして答えよごさねんだっつって」。

そして、最後に紹介するのが、大阪ガスではなく、Zエナジーから届いた書簡。
その冒頭の語句に目を疑いました。
本会は、11月初旬にZエナジー社、そして同社の大株主である大阪ガス、三菱UFJ銀行、NTTアノードエナジーの各社に質問状を送りました。
ところが、株主各社は、この質問状を受け取りながら回答を拒否し、Zエナジーに回答責任を丸投げしました。
そこで、Zエナジーは、これら大株主三社の子会社であるにもかかわらず、「株主三社と弊社を代表して」回答を寄せてきたのです。
子会社が親会社を代表できるんでしょうか?主格逆転。親の責任放棄です。
しかも、その回答内容は、上記で示した質問状の内容にに全く答えておりません。
それどころか、これまで事業者であるAmp社に対して最低限、改善を働きかけるぐらいの姿勢は示していたのに対して、今回は一転して「弊社には事業主体の運営に関与する権限はなく・・・指示・介入を行う立場にない」と完全に開き直ってきました。
そして、問い合わせるなら、事業者に直接尋ねろという始末です。
これまで、本会がAmp社/AC7社が「カオナシ」対応のため、事業者と有効な対話が不可能であることを訴えてきたの経緯を完全に無視して、振り出しに戻すような発言です。
親である大株主三社が、そう回答しろと言ったのでしょうか?
いすれにしても、Zエナジー社の回答姿勢・内容は、これまでよりも、責任回避・転嫁の色合いが濃くなっています。あの親にして、この子ありといった感じです。
とはいえ、その大株主のひとつである大阪ガスは、こうした無責任な回答をZエナジー社に送らせておいて、方や社長さんは、朝日新聞向けには、事業者は真摯に対応すべき、改善を期待したい、対応を注視している云々とか言ってましたね。
リップサービスでしょうか?
これで改めて分かりました。