2026年4月1日から、福島県は「デスティネーションキャンペーン」と銘打った観光客誘致に向けた官製の広報活動を開始しました。しかし、その宣伝の写真などを見ると・・・

先日、福島県庁を訪れると、26年4月1日から開始される「福島県ディスティネーションキャンペーン」の宣伝ポスターが掲示されておりました。
この「ディスティネーションキャンペーン」。全くの和製英語で意味不明であり、本当におかしな名称です。
でも、おそらく広告代理店か何かにアイデアもらって、それを批判的に吟味することのない国や県がそのまま垂れ流して、いつの間にか世間に広まったようです。
まあ、とにかく、福島いいところだから来てね、っていう単純な観光客誘致運動を指します。
ちなみに、お隣のATMは東邦銀行さん。
さすが、県の指定金融機関。地元の顔です。

さて、隣に展示してあるポスターを見ると、特にひときわ美しく目立つのか「花見山」のポスター。
この山は福島市の渡利地区にある花の名所であり、福島の「桃源郷」とも言われます。
名前のごとく、春の時期には、一山全体が桜をはじめとするありとあらゆる花に覆われます。
ぜひ、福島を訪れた際には足を延ばしてみてください。
→ 花見山特別サイト
しかし、先達山のメガソーラーを注視する我々には、この花見山の背景にある見事な雪山に目が行きます。

その中心にあるのが吾妻山、通称「吾妻小富士」です。この小富士を中心とした吾妻連峰の美しい山並みこそが、福島の人々が愛してきた風景であり、故郷の宝です。
福島市の中心街から、西の山を見上げると見えてくるのがこの景色です。
ちなみに、この写真では分かりにくいですが、小富士の斜面にある残雪が、ウサギの形に見えませんか?
地元では「雪ウサギ」と呼び、春の訪れを告げる風物詩として楽しんでいます。

しかし、この愛すべき風景は、先達山のメガソーラー開発によって一変し、もはや素直に愛せないのです。
参考 → 矢吹武さんの画集『雪うさぎの涙』(2024)
これは開発工事途中の写真ですが、正面の吾妻小富士の右下部分の大きくえぐられた部分が、先達山メガソーラーの開発地域です。
この開発工事を住民の反対や批判を無視して強行したのが事業者、杜撰な開発計画を見逃し、それを許可し、市民の批判を無視して容認し続けてきたのが福島市・福島県です。
参考 → 福島市の対応上の問題
福島県の対応上の問題
その結果、このメガソーラーは2025年12月には完成し、現在も吾妻連峰の山裾に鎮座しております。
つまり、上のポスターの写真は、メガソーラー建設前のものです。
それでは、実際に「デスティネーションキャンペーン」に誘われて、福島駅に降り立った観光客が見上げる先にあるものを見てみましょう。
まず福島駅の新幹線改札口(一つしかない)を出ると、右側にエレベーターと会談に続く通路があります。通路の先の窓ガラスの向こうには、すでに雪山が見えています(左写真)
そこに近づいてみると、見えてくるのは、白い三角形とその下にならぶ黒いパネル(中)。 さらに車で山の方に近づけば、この三角形がゲレンデではなく、パネル設置のために削られた山肌だということが分かるでしょう(右)。当然、雪化粧がなくなれば、醜い地表が現れてきます。




これが現実ですから、ぜひ「デスティネーションキャンペーン」に惹かれて、福島に足を運ばれた観光客の皆さん。
駅に着いたら西方に目を向け、西方に車を走らせてみてください。
雄大な山並みと、それを壊す「紅一点」ならぬ「黒三点」ぐらいのパネル、そしてはげ山が見えてくるはずです。
このような恐るべき故郷の山を破壊する計画を認可し、その後、市民からの批判を無視し続け、業者に工事を続けさせて今日に至った福島県。
この事態にだんまりと口をつぐみ、本会からの要望書や質問状も無視しづける県知事。
参考→ 本会の要望書に対する県知事・県庁の対応の経過
その一方で、このあさましい現実を隠して、昔の古い写真まで使って、美しい福島県においでなすって、キャンペーンですか?
滑稽なり、偽善なり、フェイクニュースなり。

ちなみに、こうした外向けに先達山の醜さを隠して、広報宣伝するのは、福島県に限ったことではありません。
福島市の今月の「市政だより」の表紙を見てみましょう。これは、福島市の中心部に位置する信夫山の頂上(烏が崎)から、福島の西方の山を映したものです。
意図的かわかりませんが、一番目立って雄大な吾妻小富士を写真に捉えず、それより南側に位置する安達太良山を中心にしています。
実際にはカメラと視線をちょっと右に移せば、全く違う風景が見えるんです。

それが、こちら。
これは工事開始時のものですが、同じ烏が崎の岩山の上から撮影した一枚です。
右下のはげ山部分に、現在は、上の写真で示した通り、醜いメガソーラーが出来上がっています。
ちなみに、市政だよりの表紙の写真は、見つめる山の先が太陽の光で輝いているようです。
しかし、昨今、福島の市民が山を見上げて目にするのは自然の太陽光だけではありません。
私たちは春から秋にかけて、先達山のパネルから届く反射光、すなわち「光害」も目にしなければないのです。
参考 → パネル反射ギャラリー
参考 → 大谷 望・作「燦燦と光る山」
ぜひとも、デスティネーションキャンペーンに惹かれて福島にいらっしゃる皆さん。
福島の自然、食物の豊かさを感じると共に、こうした福島の愚かしく、恥ずかしい現実も忘れずに直視していってください。
それと同時に、このような不条理に何とかあらがおうとする地元民も少なからずいることを覚えてください。