福島市の対応

福島市は、これまでAC7社の先達山案件について、どのような対応をとってきたのでしょうか。

この点については、福島市役所が「先達山太陽光発電施設 特設ページ」を設けて説明しています。

この特設サイトは、こちらです。

しかし、このサイトは、2024年6月2日に先達山で発生した土砂流出事故を受けて、市役所に対して先達山事業に対する批判が殺到したため、それに対応すべく急遽、開設したものです。

したがって、このサイトは市役所が、市民に対しては「我々は事業者を指導・監督しています。しかし、最終的責任は事業者にあります」という弁明的メッセージを送るところに重点が置かれている印象です。

しかし、これまでの市役所のAC7社に対する対応には、様々な問題があります。

例えば、左の図は、AC7社が「林地開発許可」を得る過程を、簡略化して示したものです。

福島市は、AC7社から最初に提出された「環境影響評価方法書」「同準備書」を受領し、市民に「縦覧」させ、その後の修正を踏まえて提出された「事前協議書」を評価し、「適合通知」を出すという重要な役割を担っていました。

そして、福島市長が「適合通知」を出した結果、福島県は森林審議会を開き、最終的な「林地開発許可」を出すに至ったのです。

福島市は上記の特設ページで、2021年10月13日に「県知事から「林地開発許可」がなされる(※メガソーラーの開発が許可される)」と太字で強調していますが、それに先立って市長が、AC7社「適合通知書」を送ったとは強調しません。

この「事前協議書」とは、福島市の景観条例に基づくもので、計画区域内での開発を行う事業者に義務付けられたものです。

この協議書では、事業計画、景観予測が示され、それを市長が評価するわけです。

ところで、AC7社は合同会社であり、従業員はいません。それでは、実際には誰が、先達山の開発計画や景観予測を作ったのでしょうか?

私たちは、情報公開請求により、この「事前協議書」を入手しまし、その作成者、内容の問題を検証しました。

その入手した全文はこちらです。

この文書のP.3で確認できるように、この協議書の作成者は、株式会社アークです

AC7社は、この業者に事前協議に関する一切の件を委任しています。つまり、丸投げです。

したがって、AC7社=アーク社と見てよいでしょう。

なお、アーク社の住所は西新宿になっていますが、本社は大阪です。いずれにしても、福島にはあまりなじみもなく、土地勘もないと思われる業者です。

文書量が多いので、景観についてだけ、解説します。

この協議書の中の「景観配慮事項」には、左のようなやり取りが示されています。

いずれの質問にも「造成面積を最大限に小さくし、外周を緑地として残地する事により、周辺環境との調和を図った」という同じ文言が繰り返されます。

つまり、何の工夫も考えも見られません。

しかし、それでも、この紋切型の回答で、福島の景観特性・眺望が守られるかという重要な問いに、「はい」「はい」と答えていきます。

それでは、AC7社が景観予測に際して選んだ眺望点とはどこでしょうか?

それを私たちで整理・編集したものが、左の図です。

福島の地形を知る人間から見れば、随分、不思議なところから眺望していますね。

ついでに、この資料では「福島駅西口」が「福島県西口」と誤記されています。

些細なことですが、こうした誤記もノーチェックです。

これらの眺望点から見た景観予測が、写真と共に提示されています。

いくつか例をあげましょう。

まずは、東の花見山から。

ここからは福島市街は見えるが、手前の樹林が邪魔となって、事業対象区域(=先達山)は見えないそうです。

でも、観光地である花見山に登る途中の道はどうなのかな?

わざと見えないところから撮っていませんか?

そんな疑問が浮かぶ写真が連続します。

次に民家園からの眺望です。

「樹木に遮られ、視認できない」

って、「そりゃ、林の中から見れば、樹木に遮られるの当たり前でしょ!」と突っ込みたくなります。

これも、全く同じこと。

これも

たまには、樹木以外の「山地の斜面」にも遮られてみた。

でも、これって、ぬる湯温泉の「建物」ではないでしょ。

なぜ、駐車場を撮る?

私たちがイチオシの最高傑作はこちら。

今は無き懐かしの西口イトーヨーカドー。

確かに駅西口の二階改札口からは、イトーヨーカドーに遮られて先達山は見えません。

しかし、新幹線の改札口を通ったことのある福島人ならわかるでしょうが。

ましてや、評価する側の市役所員や福島市長なら、絶対に添付写真を張り付けて、こう言わなくっちゃ駄目だべした。

「このはしを渡らないでください」と言われて、橋の真ん中を歩いた一休さんの話なら、かわいいです。

しかし、2階から視認できないいが、3階からは視認できるでは、冗談では済まされない。

眺望点の中には、さすがに視認できないとは言えないスポットがあります。

そのひとつが、吾妻支所からの眺望。5キロ離れているが、真正面。遮る樹木も斜面もない。

しかし、「緑化に努め、設備の色彩」を「周囲の環境」に合わせるとほぼ見えなくなるんだと。

「眺望景観の変化は小さいと予測する」

じゃあ、こいつはどうだ。2.5キロ。先達山がもろに真正面に見える。

さすがに、これは参っただろ。

が、2.5キロとほぼ変わらず、低反射パネルを使用し、緑化に努め、色彩を合わせれば・・・

全く同じ結論。

冗談なのか、マジックなのか。頭がくらくらします。

こんな景観予測を見せられては、さすがに市役所員も怒ったでしょう。

ましてや、福島市長なら、市民を馬鹿にするのかと代わりに怒ってくれたでしょう。

でも、残念。

木幡市長名でAC7社に送られた「事前協議結果通知書」は・・・

なんと「適合」! しかも、指導・助言は「なし」です。